2007年03月15日

チェコ音楽の魅力

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東洋書店の「ユーラシア選書」のシリーズで出た「チェコ音楽の魅力 スメタナ・ドヴォルジャーク・ヤナーチェク」である。
この本を買った主な理由は、著者が鳥取大学教授の内藤久子先生であること。と言っても私は面識がないんだが。チェコ音楽の第一人者が鳥取にお住まいだということはなんだか誇らしい。

これまで漠然と「ああ、いい」なんて聴いていた、この3人の作曲家の立ち位置が非常に鮮明に理解できる素晴らしい本であった。
すなわち、リストとワーグナーを信奉し、ボヘミアの「物語」を音楽化することで、チェコのオリジナリティを追求したスメタナ、ブラームスを信奉し、絶対音楽の表層に飾りとして民謡的なチェコらしさをトッピングしたドヴォルザークが、政治的な論争になるほど対立していたということ。
さらに、次の世代であるヤナーチェクが、生地のモラヴィアの、ボヘミアとも違う音楽の伝統をベースにして(バルトークと同じように、民謡を採譜したのだ)、音楽の作り方自体を再構築してしまったこと。

何より著者の作曲家とチェコへの愛情がそこかしこに感じられる。

ところで、この本の中で、にわかに理解しがたい記述があった。ヤナーチェクは「ベートーヴェンの作品を聴いても、私は決して忘我の境地に入ることはなかった」というのだ。
というのも、チェコの名ピアニスト、ルドルフ・フィルクシュニーは、「ベートーヴェンのソナタの演奏解釈をヤナーチェクから学んだ」という話を読んだことがあるからだ。
これはおそらく、作曲家としてのヤナーチェクはベートーヴェンの作曲の在り方とは違うものをめざそうと考えたということであり、それは演奏家としてのフィルクシュニーに作品をどう演奏するかを伝授することとは次元が違うことであり、両立しえたのであろう。そもそも、ピアニストはベートーヴェンを演奏しないわけにはいかない。

しかし、ヤナーチェクの作曲原理は、深すぎる。何であんなユニークな音楽なんだろうとずっと思っていたんだが、やはりモラヴィア地方の地理的(民族的)独自性が大いに役立っているようだし、その民族的な音楽をベースにして音楽構造のあるべき姿をゼロから構築しているのだ。
心して聴かねば。


posted by tak at 00:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽的思索 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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