2008年08月16日

ホールに音が刻まれるとき

daiichiseimeihall.JPG

かつて東京のど真ん中に存在した、不思議な立ち位置のホールの、不思議な歴史を描いた本。副題「第一生命ホールの履歴書」である。渡辺和(やわら)氏著。

いつも読んでいる著者のブログで「絶版決定、在庫は裁断処分」と書かれていて、本が裁断されて処分されるなんてそんな悲しいことはあってはならないと思い、即座に地元の本屋さんにオンライン注文した。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2008-07-30
と思ってたら、絶版撤回だそうだ。
http://yakupen.blog.so-net.ne.jp/2008-08-05
でも、くやしくない。面白いから。

私が大学入学で東京に出る直前にホールとしての運用は終わっていたので、その存在すら知らなかったのだが、とても興味深いホールだったようだ。
何が面白いと言って、このホールに関わる人たちの音楽に、文化にかける意気込みの「濃さ」。音楽好きといいながら、私は果たしてそれだけの意気込みを音楽に掛けられているんだろうかと深く反省してしまう。これを読めば、著者が盛んにブログで日本のホールのソフト的運用能力の問題を投げかけている理由の一端がよく分かる。これだけの思い入れがなければホールを文化の拠点として運用することはできないのだ。ただ、問題は、その運用能力の価値判断をできる「権力者」は少ないこと。それくらい無神経でないと「権力者」にはなれないのかもなあ。

後書きにあるように、また、ちょっと想像すればすぐ分かるように、こういった本を書くのは相当面倒なことである。1次資料の入手、膨大な2次資料の分析、それらをコンパクトに流れを作りながらまとめる筆力。見事である。ちゃらちゃらブログを書いてる場合じゃないですよ。もっと本を書いてください。

ところで、このブログの記事で動いた在庫はどれくらいだっただろうか。おそらく30冊くらいではなかろうか。クラシックCDの市場が1000枚前後ということから考えて、「大衆」向きでない本の市場の、ブログによる量的な影響はこれくらいかなあと想像している。


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posted by tak at 00:18| Comment(2) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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