2008年10月28日

ザンデルリンク/ロットのマーラー#4

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クルト・ザンデルリンクがフェリシティ・ロットと録音したマーラーの4番。オーケストラはBBCノーザン交響楽団。いまはBBCフィルだっけ。
1978年4月17日、マンチェスターのBBCスタジオでの録音。

最初にモーツァルトのドン・ジョバンニ序曲。ベートーヴェンのように強靭なモーツァルト。これを聴くと、モーツァルトを軽やかに演奏するのが絶対ではなく、厚く強靭な音でも音楽が成立するのだ、という発見がある。
ザンデルリンクのマーラーは、9番と10番が有名だが、4番の録音が発売されるのは初めて。4番というと「浮遊感」を思い浮かべるが、ここでも強靭。トロンボーンなしの二管編成なのに、巨大にオケが鳴る。4楽章になって初めて浮遊感が生まれる。30歳(!)のフェリシティ・ロットの歌声は、今よりむしろどっしりした感じだが、声は初々しい。

2008年10月27日

鹿野ミュージカル本番

今年も無事終了。
昼からの公開リハーサルは相当やばかったが、そのおかげか、夜の本番は、細かな傷はあったものの、上々の出来。
鹿野ミュージカルのオーケストラは、弦1本ずつ、管も一管編成と小規模なもので、ちょっと集中すればかなり濃密な音楽が作れるのだが、今年のメンツは初めての人が多いためか、音楽以前の状態で相当やばかった。
それでも、それぞれの人がそれぞれに努力したおかげか、土日あわせて3回の通しの中で、着実に音楽を作れるようになってきた。こういうプロセスって、それぞれの人の中でどういう変化が起きているのかということを想像すると、相当興味深いものである。
むしろ、長ーい待ち時間の中でだべっているうちに気心が知れて、それがアンサンブルに波及するなんてことがあるかもしれない。
というわけで、本番ではかなり濃密な音楽ができた。満足。
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2008年10月26日

鹿野ミュージカルゲネプロ

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いよいよ26日は鹿野ミュージカル本番。
25日は、場当たりと通し稽古。
なかなかさまになっている。
本番が楽しみ。
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2008年10月25日

ザンデルリンクのブラームス/ピアノ協奏曲#1

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最近出たEMIの"classics for pleasure" シリーズの1組。

ブラームス
・ピアノ協奏曲第1番 ピアノ:マルティノ・ティリモ 指揮:クルト・ザンデルリンク ロンドン・フィル
・ピアノ協奏曲第2番 ピアノ:マルティノ・ティリモ 指揮:ヨエル・レヴィ ロンドン・フィル
・ピアノ四重奏曲第1番(シェーンベルク管弦楽編曲版) 指揮:サイモン・ラトル バーミンガム市響

ザンデルリンク先生の1番のコンチェルトは、すでに二つ持っている。79年のハンス・リヒター=ハーザーと、97年のエレーヌ・グリモー。どちらも名盤で、あえてもう一つ買うこともなかったなあと思うが、このEMI録音もいい演奏。オケのエッジが立っている。が、録音は最悪。ピアノはあんまり聴いてないので、どうだったかなあ。
2番は、ジューシーなピアノにさらにジューシーなオケで、これはブラームスではないなあ。私の好みでは全くない。
続けて入っているラトルのピアノ四重奏曲管弦楽編曲版もなぜか良く似たジューシーな演奏なのだが、これはまあ曲想に合っているので、名演といって差し支えない。だが私の好みはカリカリに硬派のドホナーニの演奏なので、「癒されたい」と思うとき以外(?)はラトルを聴くことはなさそう。

ジャケットは、フリードリヒの「雲海の上の旅人」。ブラームスとは合わない気がするんだが。

ところで、24日の夜は鳥取大学で鳥大フィルの練習に参加していたんだが、帰りがけ、マンドリンクラブと思しき集団がリーダーと思しき人の訓話を聴いていた。リーダー曰く「もっとメトロを使って基礎練習をやって…」。メトロ?鳥取には地下鉄はないぞ。もしかして、メトロノームのことか?そんな発想はなかったわ。

2008年10月23日

プラハのための音楽1968

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今日もまたカレル・フサ。
これは昨日の録音から4年後、2005年12月19日、イリノイ州立大学吹奏楽団、指揮はスティーブン・K・スティール氏。

・スメタナ・ファンファーレ
・アル・フレスコ
・ピアノと吹奏楽のための小協奏曲(ピアノ:モモコ・グレシャム)
・プラハのための音楽1968

某国の数多ある吹奏楽団と同じく、楽器のまんまの音を刺激的に出す素朴なサウンドではあるが、音程と縦の線が厳密にそろっている上で強靭な個々の奏者の音のせいで、聴けてしまう。特に前の2曲は、イサカ大学より面白く聴ける。

ピアノ小協奏曲のピアニストは、ソリストの任にそぐわないかなあと思っているうちに、バックバンド並みに強靭な音が出てくるようになって、でも、まあまあ。曲はバルトークっぽい。

そして、「プラハのための音楽1968」。いやはや強靭な音楽だ。奏者も真っ向勝負でひるんでいない。であればこそ、より柔軟な音色で「クラシック」としてのフサの音楽を聴きたかった。20年ぶりくらいに聴くのに、結構細部を覚えているのに驚く。パパパパパッパパッ、パパパパパッパパッ、とか。青春のころの記憶力はすごいね。盛んにDEsCHのテーマが聴こえるような気がするのは気のせいか?

こういうのコンクールでやりたいよねえ。

ライナー・ノートには興味深い記述がある。カレル・フサの、最初のヨーロッパでの録音がバルトークの「中国の不思議な役人」、「アメリカの50の州すべてで指揮をした」。51番目の州では指揮したことがあるんだろうか?
タグ:フサ
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2008年10月22日

この地球を神と崇める

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1921年プラハ生まれの現代作曲家、というよりは吹奏楽の芸術系レパートリー拡大貢献者(と言ってはほかの作曲家に失礼か)、カレル・フサの80歳記念コンサート。指揮はロドニー・ウィンザー、演奏はイサカ大学吹奏楽団。曲は盛りだくさん。

・スメタナ・ファンファーレ(1984)
・アル・フレスコ(1974)
・金管と打楽器のためのディベルティメント(1958)
・打楽器と管楽アンサンブルのための協奏曲(1970)
・ピアノと管楽アンサンブルのためのコンチェルティーノ(1983)
・アルト・サックスと吹奏楽のための協奏曲(1967)
・この地球を神と崇める(1971)

どの曲もシリアスで、吹奏楽とかどうとか言う以前に、しっかりとしたまじめな曲ばかりで、ついつい背筋が伸びてしまう。
「スメタナ・ファンファーレ」は、リブシェのファンファーレと関係がありそうななさそうな。
「この地球を神と崇める」は、環境破壊への憂慮がテーマだけあって、恐ろしい問題意識、素晴らしい表出力。もっともっと演奏されてもいいと思う。演奏は難しそうだけど。
大学生といえども演奏は一流。音程がハモらなかったりするが、基本的には素晴らしい演奏。
タグ:フサ
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2008年10月20日

土日音楽的一言メモ

10月18日(土)
前日は職場の同期の会で楽しく飲みすぎて二日酔い。朝は何とかごく簡単な仕事を一つ終え、家に帰ってうたたね。昼からのうたたねは特に気持ちよかったが、おかげで練習に遅れそうになる。
夕方は鹿野ミュージカルの練習。
これまでの音楽人生で、ここまで「縦の線」が簡単に崩壊する経験はなかったような気がする。本番まで気が抜けない。
晩御飯は、反省会も兼ね、メンバーの4人でとうかい楼へ。ユーリンチー、豚肉と野菜のトウガラシ炒め、天津飯、焼きそば、餃子。美味。

10月19日(日)
練習に備えて朝からさらう。
10時からふれあい会館で「音劇」のチェロソロと役者の合わせ。やっと様になってきた。
13時半からはオケ全体の練習。箏とのあわせもある。メンバーの出席は少ないが、まあ順調ではなかろうか。
今日は作曲者、演出家も立会い。作曲者から「日程も厳しい中なのに、こんなに上手く曲が通るなんて思いませんでした」なんてお褒め(?)の言葉も。こんなの普通じゃないのか?まあそのために何度も「曲は簡単にしてくださいね」とお願いして作ってもらったんだけどね。

クラシカルな音楽を演奏する技術というのは、ロックやジャズとはひとつ大きく違うところがある。テンポの揺らぎである。テンポの揺らぎを前提として自分の演奏を構築しつつ、他の奏者の音を聴く必要がある。ずれたときに、そのずれをどう解消するかということについても、経験が必要で、まずは誰に合わせるのか、つぎにどれくらい時間をかけて(瞬間的?1小節で?)修正するか。音符をきちんと弾けた後でこれだけのことを実現できなければ、曲は通らない。
だからこそ、不安が解消されなかったり、よく通るねと驚かれたりするんですよね。

深夜に、HMVから発注したCDの発送済み通知。今回はこんな感じ。
・最近出たエレーヌ・グリモーのバッハ・アルバム(DG)
・ザンデルリンク先生と女王フェリシティ・ロットのマーラーの4番(BBC)
・ザンデルリンク先生のブラームスのピアノ協奏曲第1番のスタジオ録音ほか(EMI)
・サー・チャールズ・マッケラスのシドニー響ライブのドヴォ7、ツァラ!(Sydney Symphony)
・ネーメ・ヤルヴィのスキタイ組曲&アレクサンドル・ネフスキー(CHANDOS)
・カレル・フサの「プラハのための音楽1968」他
・カレル・フサの「この地球を神と崇める」他
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2008年10月17日

ヴェルヴィエ音楽祭2007

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ヴィトルド・ルトスワフスキ パガニーニの主題による変奏曲
 ピアノ:マルタ・アルゲリッチ、ガブリエラ・モンエテーロ
ロベルト・シューマン 「詩人の恋」から第10〜12曲
 バリトン:トーマス・クヴァストホフ
 ピアノ:エレーヌ・グリモー
フランツ・シューベルト 鍵盤のための小品
 ピアノ:ラルス・フォークト
ロベルト・シューマン ピアノ五重奏曲から第2,3楽章
 ピアノ:エレーヌ・グリモー
 ヴァイオリン1:ルノー・カプソン
 ヴァイオリン2:庄司紗矢香
 ヴィオラ:ラルス・アンデルス・トムター
 チェロ:ミッシャ・マイスキー
クロード・ドビュッシー 子供の領分
 ピアノ:ネルソン・フレイレ
ベラ・バルトーク ヴァイオリン・ソナタから第3楽章
 ヴァイオリン:ルノー・カプソン
 ピアノ:マルタ・アルゲリッチ
モーリス・ラヴェル ヴァイオリン・ソナタから第1楽章
 ヴァイオリン:ルノー・カプソン
 ピアノ:エレーヌ・グリモー
フランツ・リスト 愛の夢
 ピアノ:エフゲニー・キーシン
ジョルジュ・ビゼー/ウラディーミル・ホロヴィッツ カルメン変奏曲
 ピアノ:エフゲニー・キーシン
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲から第3楽章
 ヴァイオリン:ジョシュア・ベル
 UBSヴェルヴィエ祝祭管弦楽団
 指揮:サー・アンドルー・デイヴィス
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1994年に創設され、わずかな期間で高い評価を得られるようになった、スイスのアルプスの街で開かれる「ヴェルヴィエ音楽祭」の、2007年のハイライト。
演奏されている曲も一つの楽章だけだったりするし、全体でもわずか80分の収録なのに、恐ろしい密度の音楽が詰まった1枚だ。
本物のスターが、自身の持てる能力をぶつけ合ってアンサンブルするさまは、哲学論争や禅問答や格闘技を一緒くたにしたものを見るような、ものすごく刺激的なものである。
単位時間当たりの音符数が格段に多いバルトークのソナタとホロヴィッツ編曲のカルメン変奏曲は、それぞれルノー・カプソン、エフゲニー・キーシンの名技はもちろんそのミクロの時間の中に押し込まれた音楽の濃さに愕然とする。
また、シューマンのピアノ五重奏曲では、それぞれが音楽をする意味を順番に語るかのようである。やはり、音楽には、個人のそれまでの人生がにじみ出るものなのだなあ。
エレーヌ・グリモーの室内楽演奏が見たくて買ったDVDだが、大満足。
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2008年10月13日

市響・音劇・賑わい日誌

10月6〜10日
賑わいのまちづくり関連事業で「パークアンドライド」実験に参加。普段より遠いところの、駅前に近い駐車場を借りてもらって、中心市街地を徘徊する、はずなんだが、車を取りに行く(帰宅するわけではない)18:30〜19:00には、あまり中心市街地で利用する店もなく、とりあえずたい焼き食べたり、コーヒー飲んだり。
10日には、芝生ひろば付近で鳥取県総合芸術文化祭東部イベントのチラシ配り。あいにくの雨。それが終わったら、芝生ひろばに出現した飲み屋のテントで飲み食い歓談。2時間もたちっぱなしでしゃべってしまった。愉快愉快。

10月11日
ゲネプロ前まで家でごろごろしたりチェロをさらったり。
合奏前にこんだけチェロをさらうと、合奏も気持ちよい。ゲネプロはいい感じで終了。

10月12日
さわやかな天気。ステリハもさわやかに終了。
本番は、私のレクチャーも上手くいったし、演奏も上々。と言いたい所なんだが、勢いで何とかなっているように聴こえるが、音程もテンポも大雑把。このメンツなら、もっといい演奏ができるはず。「美学」と「配慮」がもう少し足りない。
打上げは楽しい。1次会は「かたつむり」、2次会は「仙味楼」、3次会は花じまんで、終了は日付変わって1時半。
アンケートでも、また奏者の間でも、グリーグの抒情組曲の前に、ピアノ版抒情小曲集を演奏したのがとても良い評判だった。残念ながら私のアイデアでは、1曲ごとにピアノ版→オケ版と比較して演奏したかったのだが、指揮者の意向で残念ながら実現せず。
聴衆は少なくて残念。努力しなきゃ。人が少ないと音響がいいのでお客様にはいい音で聴いていただけたはず、なんて言ってちゃいけないよなあ。

10月13日
二日酔いで目覚め。と思ったら、しばらく布団でごろごろしてたらなんとなくすっきり。なんというアルコール分解能力の高い肝臓だこと。
9時過ぎにがんばって目覚め、初の一般公開といわれる、民芸復興の祖、吉田璋也の実家の吉田医院の見学に行く。なにせ、今日1日だけ、10〜17時だけ、だから、練習前に行くしかない。
10時ちょうどについてみると、おびただしい人の数。100人くらい?みんなまちこがれていたんだなあ。さすが民芸の雄、品の良い調度・内装で、美しく保たれていたのが奇跡的でした。もったいない!
11時過ぎにとりぎん文化会館リハーサル室で、「音劇」のチェロと箏の合わせを練習。ウォーミングアップなしでぼろぼろ。恥ずかしや。
13時から、「音劇」のオーケストラ練習。大場陽子さんという東京の作曲家が書いた新作なんだが、なかなか面白い。
出席者が少なく、指揮者と元団長から「井上が責任を持って練習に来させろ」とちくちく言われる。めっちゃブルーになる。
家に帰って、「音劇」出演者の名簿整理。
マンガを読んだり、こんな仕事をしているうちにブルーな気持ちもさっぱりした。なんと気楽な性格であることよ。


10月12日の定期演奏会でのレクチャー原稿を載せておきます。当日しゃべったのはこれとは少し違います。

2008 鳥取市交響楽団第30回定期演奏会レクチャー原稿

「コリオラン」
皆さま本日は私ども鳥取市交響楽団の第30回定期演奏会にようこそおいでくださいました。今年もまた、演奏に先立ち、曲の解説をいたしたいと思います。
まず1曲目はベートーヴェン作曲のコリオラン序曲です。これはベートーヴェンがコリオランの物語に触発されて書いた曲で、物語の上演のための序曲ではなく、物語の雰囲気を音楽にしたものをとりあえず序曲としているんですね。後の時代であれば「交響詩」、シンフォニックポエムというようなジャンルにしたのではないかと思います。
さて、コリオランの主題を聴いていただきましょう(Aから全員で、27小節目まで)。
次に母と妻の主題(52小節目から、伴奏なしでメロディーのみ、59小節目まで)。
そのほかにもいろいろとメロディが出てきますが、おおむねこの素材が使われています。
そしてこの曲でユニークなのは終結部。テンポは変わらないのに音楽は遅くなっていきます。ちょっと見ていてください。(297小節目から、チェロのみ、304小節目まで)。
それでは、聴いていただきましょう。

抒情組曲
続いてグリーグの抒情組曲です。この曲は原曲がピアノの独奏曲でして、実際にピアノの演奏と対比して聴いていただきたいと思います。全曲を両方の版で演奏すると大変な長さになりますので、2曲目と3曲目だけ全曲をピアノでも、1曲目と4曲目は最初の部分だけ聴いていただきます。どこで拍手すればいいんだろうと思われるかもしれませんが、一番最後にまとめてしていただければと思いますので、よろしくお願いします。
まずは第1曲羊飼いの少年。羊飼いと聞くと、野原の真ん中でのどかそう、なんて思うかもしれませんが、ヨーロッパ音楽に出てくる羊飼いのメロディは、孤独にさいなまれ、常に切ない音楽です。ピアノで冒頭の部分を、続いてオーケストラで演奏します。
第2曲、ノルウェー農民の行進曲。ノルウェー語で「ガンガル」と書いてあるんですが、一語だけで「ノルウェー農民の行進の踊り」を表しちゃうんですね。これはとてものどかな楽しい曲です。ピアノで全曲、続いてオーケストラで演奏します。
第3曲、夜想曲。夜、静かに思いにふけります。遠くから鳥の鳴き声が聞こえます。ピアノとオーケストラでそれぞれ全曲演奏します。
最後の曲、トロルの行進。トロルっていうのは、ちいちゃな鬼みたいな森の精霊ですね。あちこち飛び回って、大騒ぎします。ピアノで冒頭の部分だけ、続いてオーケストラで演奏します。


ショスタコーヴィチ 交響曲第5番
この曲には解説すべきことはたくさんあるんですが、全部説明するのは大変なので、二つのことだけ説明します。
まずは、この曲の現代的な部分について説明しましょう。ショスタコーヴィチは20世紀の作曲家なんですが、19世紀の音楽と大きく違うのが、調性の考え方だと思います。この曲は比較的何調というのが明快な曲なんですが、間あいだに奇妙な音階が挟まっているんです。
最初にハ長調の音階を弦楽器で聴いていただきましょう(弦楽器で、23の1小節前の2拍目のCの音から1オクターブのハ長調のスケール)。
次にこれを聴いてください(弦楽器で、23の1小節前の2拍目のCの音から1オクターブの全音音階)。何か奇妙な音階ですね。実はこれは全音音階と言って、普通の音階には半音の幅の部分、ミとファ、シとドがあるんですが、この音階は全部が全音の幅でできているんです。実際に曲の中で1箇所これが完全に出てくるところがあるので、演奏してみましょう(23の2小節前の3拍目から次の小節の4拍目の頭の音まで)。違和感がありますよね。こういう違和感が全曲に渡って出てくるんです。
第2楽章にはこういう形で出てきます(57の5小節前、音階の人のみ1小節間)。曲の流れで聴くとこうなります(57の6小節前の2拍目から、全員で3小節前の2拍目まで)。
この音階、なんか嫌な気がしませんか。私はこれは、政府が民衆を弾圧したり監視したりしているんだと思っています。
次に、引用。ブルックナーやリヒャルト・シュトラウスが自分の曲を引用することがありますが、それは思い出に浸っているだけです。それと違って、ショスタコーヴィチの引用は、明確な意味があります。知っている人にだけ意味を伝える暗号なんです。
まずは第4楽章。冒頭の音型が曲の最後に長調に変化します。まずは4楽章冒頭(冒頭の3小節目のアウフタクトから、金管のみ3拍目まで)。曲の最後(131の3小節目の4拍目から、金管のみ6小節目まで)。これは元をただせばこの曲なんです(ハバネラ、全員で4小節間)。カルメンが「ご用心なさいよ」と歌う場面です。明るい楽想になったことで喜びを表すなどと信じてはいけません。これは、民衆が抵抗をあきらめ、本心を隠して政府に付き従うことを決意したしるしだと思っています。しばらくすると、みせかけの明るさが揺らぐ場面があるので、45分後くらいにこの場面が出てきたら、注意して聴いてくださいね。
このように、ショスタコーヴィチはいろんな仕掛けをめぐらしてこの曲を作っています。どうぞゆっくりお楽しみください。
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2008年10月11日

明日は市響の定期演奏会

いよいよ鳥取市響の定期演奏会です。ゲネプロはバッチリ上手く行きました(ということにしておきましょう)。後は本番。
先日日本海新聞に掲載された紹介文を掲載しておきます。


爽やかな秋の日にオーケストラを楽しみませんか

県東部唯一の社会人オーケストラである鳥取市交響楽団は、皆様に支えられて30回目となる演奏会を迎えることができました。この節目の演奏会では、有名な作曲家の、実演で聴くことの少ない曲をお届けしようと思っています。
最初の曲は、ベートーヴェンの序曲「コリオラン」。エグモントは頻繁に演奏されますが、コリオランはなぜかあまり聴くことがありません。アマチュアオーケストラにとっては、チェロパートがとても大変であることが妨げになっておりますが、一度は演奏したい、また、ぜひ紹介したい、美しくも悲劇的な名曲なので、今回は気合を入れて取り組むことにしました。
2曲目は、昨年没後100周年を迎えたグリーグの「抒情組曲」です。ピアノを弾かれる方は「抒情小曲集」というピアノの小品集をご存じかもしれませんが、その中から4曲を選んで管弦楽用に編曲したものです。ベートーヴェンが劇的だとすれば、グリーグは描写的。自然や心の移ろいを音にした、文字どおり「抒情的」な音楽です。このたびは、ピアノの演奏による原曲も交えながらお届けする予定です。
そしてメインの曲は、20世紀を代表する作曲家、ショスタコーヴィチの交響曲第5番です。打楽器などをたくさん使うなど編成が大きいために演奏する機会が少なく、この曲が県内で演奏されるのは、5年前の米津記念オーケストラに続いて2度目のことです。祖国の体制に反発しがちであったショスタコーヴィチが、自身の評価を決定的にした曲であり、生涯にわたってソビエトの代表的な作曲家として活躍するきっかけとなった曲です。ところが、政府の方針に従順であるかのように聴こえるこの曲は、実はすぐにはさとられないように別の意味を隠していたのです。そのあたりのことも、当団ではすっかり恒例となったレクチャーで紹介していく予定ですので、ぜひ会場においでいただき、体感していただければと思います。

鳥取市交響楽団 副団長 井上拓也

第30回鳥取市交響楽団定期演奏会
平成20年10月12日(日)午後2時開演(午後1時半開場)
とりぎん文化会館梨花ホール
入場料は一般1,000円、高校生以下無料。
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