2009年03月05日

シノーポリ/WPh/1992.3.9/NHKホール

sinopoliWPh92.JPG

ようやく届いた、1992年3月9日(月)にジュゼッペ・シノーポリが指揮したウィーン・フィルの来日公演の記録DVD。

まずは、この公演までのこと。
カルロス・クライバーの指揮によるWPhの日本公演ということで、先輩にお願いして、チケットを共同購入してもらった。もちろん「難なく」ということはなかろうが、無事に確保できた。B席、21,000円と券面に書いてある。そんなに高かったのか。
プログラムは、メインは確かブラームスの交響曲第4番の予定だったと思うが、ほかはよく覚えていない。

そうこうしているうちに、カルロス・クライバーは病気によりキャンセルが決まった。コンサート前にはすでに知らされていたが、これはどうやって知ったんだろう。チケット購入者には通知があったんだろうか。
代わりの指揮者はジュゼッペ・シノーポリで、プログラムはドン・ファンとマーラーの1番に変更になった。当時は実はリヒャルト・シュトラウスは非常に苦手だったんだが、マーラーは大好きだったので問題なし。それよりも、もう一つのプログラムにブルックナーの7番があるのが気になっていた。もちろんその時点ではチケットは手に入らなかったのでどうにもならなかったが。

というわけで、本番当日。
奔流のような音楽に酔いしれた。
終わった後は、共同購入した大学オケの面々といっしょに、渋谷の「キリン・シティ」で痛飲。
夢のような1日だった。

さて、こうしてもう一度その公演の記録を見ることができるなんて夢にも思わなかったのだが、これでようやく当時気になっていたことが確認できた。
すなわち、ウィーン・フィルはシノーポリの指揮を認めていたのかどうか。
はたして、シノーポリの棒にぴたりと吸い付くように演奏してはいるが、棒のとおりに演奏というわけではなさそうだ。

まずはこの一連の公演のスケジュールを眺めてみる。

3月5日 大阪 フェスティバルホール ドン・ファン/マーラー#1
3月6日 大阪 フェスティバルホール 未完成/ブルックナー#7
3月7日 名古屋市民会館 ドン・ファン/マーラー#1
3月9日 東京 NHKホール ドン・ファン/マーラー#1
3月10日 東京 サントリーホール ドン・ファン/マーラー#1
3月12日 東京 NHKホール 未完成/ブルックナー#7
3月13日 東京 NHKホール 未完成/ブルックナー#7

今回DVDになった公演は、このAプログラム3回目の公演であり、シノーポリの手の内はすっかり知れた頃合だということがわかる。

演奏はまさにそのとおり。シノーポリの指示をすっかり消化した上で、全体としてはウィーン・フィル率100%の音楽を、オケの全員の自主的なアンサンブルで作り上げている。特にマーラーよりも得意であろうリヒャルトの、ドン・ファンにおける縦の線、横の線みたいな二次元でなく、空間軸、時間軸まで共通認識を持った楽器の出入り、アンサンブルの綾は、人間業とは思えない異次元の仕事である。
それらがまた、個々のプレイヤーの個性的な音で奏されることで、ちょっと聴いたことがないような名演を成し遂げている。確かこれは当日も思ったことだが、トランペット陣の素晴らしさは特に際立っている。鉄壁のホルンも、絶句の名演だ。
マーラーの4楽章最後の、テンポの細かい設定は、シノーポリの解釈の勝利だろう。これを聴くと、普通のタイタンのコーダは物足りなくなってしまう。その後のブラーヴォは、私も声を張り上げたんだろうか?ちょっと覚えていない。

たしかシューマンの交響曲第2番をグラモフォンに録音して以降、シノーポリとウィーン・フィルは疎遠になっていた、みたいなことが言われていたが、そうだったとしても、この公演はその縁をふたたび取り持つことになったのではなかろうか。つまり、ウィーン・フィルがシノーポリの「小うるさい」棒への対処方法と、尊重の仕方を身につけた、と。
この公演を見た私にとってのお宝であるこのディスクは、そうでない人にも音楽の喜びを体験させるに違いないと思う。そして、シノーポリの屈折した棒の見方、シノーポリとWPhの屈折した関係、そういったものを踏まえてみれば楽しさは倍増するはずだ。



Richard Strauss
Don JUan op.20

Gustav Mahler
Symphony No.1 in D minor, "Titan"

Giuseppe Sinopoli
Wiener Philharmoniker

1992.3.9 NHK Hall

NHK CLASSICAL NSDS-12958


posted by tak at 02:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 聴いた音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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