2009年06月05日

1Q84読了

村上春樹の「1Q84」BOOK1、BOOK2を読み終えた。
う〜ん、困惑。

すでに誰かがブログか何かで書いていたが、謎掛けは謎のまま放り出され、物語としての構造は基本的に破綻している。
これはどう考えても、これで完結しているとは思えない。
普通であれば上巻、下巻であるところが、BOOK1〈4月-6月〉、BOOK2〈7月-9月〉となっていて、半年分。「下巻」という完結する表現を取ってもいない。BOOK3〈10月-12月〉、BOOK4〈1月-3月〉で完結するであろうことを自然と予想させる。
ちなみに、各巻とも主人公が交代しながらの24章で構成されているが、これはバッハの平均律クラヴィーア曲集を模したものだろう。

ともあれ、読んでいていろいろと懐かしい。森だとか、羊だとか、何ちゃらピープルだとか(「TVピープル」という短編(集)があったのを知らないハルキストはいない)、異界へ紛れ込むだとか、昔からの村上春樹の登場人物やら設定やらがわらわら出てくる。
そして、異常にくどく無駄が多く意味のない文章が多く不可思議なメタファーの多い文体もさらに磨きがかかって、うれしい。
意味のない文章とは、例えば、「そんなことはあり得ない」。このファンタジーてんこ盛りのお話の中で、あり得ないことなんてないのに「あり得ない」と書いちゃうなんてあり得ない。それを書いちゃうのが村上春樹の村上春樹たる所以だろう。そういう、あってもなくても本質的に変わらない文章を削ったら、おそらく半分でこのお話は書けてしまう。でも、そうじゃない。その無駄が読むべき部分なのだ。

ところで、このお話の1ページ目にすでにヤナーチェク(村上春樹はヤナーチェックと書いている)という作曲家名、そして「シンフォニエッタ」という曲名が出てくる。同じように、マタイ受難曲の歌詞とか平家物語のとかジャズとかおびただしく引用される。そしてジョージ・オーウェルの「1984年」。なんというか、文学的・文化的素養が試される小説である。と言っても、そういうのを知っていなければ深く理解できない小説というのでもないようなのだが。

いつくるやもしれぬ完結編を悶々と待つことになりそうだ。「カラマーゾフの兄弟」のようになりませんように。


ラベル:村上春樹
posted by tak at 01:35| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。