2009年06月12日

初心者不可触ブルックナーその2 #4

bruckner4_3rdversion.JPG

「初心者触れるべからず」のブルックナー異稿録音シリーズ。当然マニア必聴。

ロマンティックは、ブルックナーの創作の初期から中期に至る重要な時代の作品のためか、ヴァージョンが異様に多い。書かれた順に次のとおり。

1.第1稿
2.フィナーレ異稿「民衆の祭り」
3.第2稿(ハース版とノヴァーク版。微妙に違う)
4.改訂版
5.マーラー版

これまで普通に演奏されていたのが第2稿(ベームとか)。最近の録音のほとんどは第1稿(ノリントンやナガノ)。
グスタフ・マーラーの「編曲」であるマーラー版は無視してよい。
そして、弟子の手になると考えられていた「改訂版」も無視してよい存在と思っていたら、実はほとんどがブルックナーの指示による変更で、実質的に「第3稿」と呼ぶべき存在であることを示したのが、この録音なのである。ベンジャミン・M・コースヴェット博士が校訂し、2004年にブルックナー協会が出版した、正統的な楽譜である。
とは言っても、ゆったりのどかなブルックナーではない。「改訂版」は、フルトヴェングラー、クナッパーツブッシュ、マタチッチなど、超個性的な指揮者の録音しかなかったので、どこまでが曲の個性でどこからが指揮者の個性なのか判然としなかったが、この録音を聴いたら、誰がやってもあんなふうに「コテコテ」になるのだとわかる。
まずは、しょっちゅうティンパニがドコドコいってて、かなり騒がしい。次に、テンポ設定や音量、表情などがこってりと指定されているようで、メロディが厚化粧に聴こえる(指揮者の内藤氏によれば、これまでがすっぴん過ぎたらしい)。余談だが、この辺りのことは、第2稿で演奏したクラウス・テンシュテットが演奏に取り入れているのが興味深い。彼も改訂版世代なのだ。
そして、第3楽章の主部など、音楽を書き換えているところは、かなり劇的になるように変えている。
結果的に「化粧美人」のブルックナーになっている。でも私が好きなのは「すっぴん美人」(笑)。普通の第2稿がやっぱりいいわ。

演奏はなかなか素晴らしい。十分な表現意欲で、きちんと「コテコテ」に演奏してくれている。


アントン・ブルックナー
交響曲第4番変ホ長調「ロマンティック」
1888年第3稿 コースヴェット版 世界初演・初録音

内藤 彰 指揮
東京ニューシティ管弦楽団
2005年7月5日 東京芸術劇場大ホールでのライブ録音
DELTA CLASSICS DCCA-0017


ラベル:ブルックナー
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