2009年09月23日

TRIP TO ASIA ベルリン・フィル 最高のハーモニーを求めて

trip_to_asia.JPG

昨年だったか、日本でも公開されたらしい、サー・サイモン・ラトルとベルリン・フィルの2005年アジアツアーを題材にしたドキュメンタリー映画。その、コレクターズ・エディションのDVDを見た。先日、今井書店湖山店で、紀伊国屋のDVD2割引のセールをしてて、これと、クシシュトフ・キェシロフスキ監督の「トリコロール 青の愛、白の愛、赤の愛」を衝動買いしてしまった。
結論から言えばすばらしい作品である。本編のドキュメンタリーだけでも。そして、膨大な付録を合わせても。

コレクターズ・エディションは2枚組みで税込み7,245円もするが、それだけの価値がある。というか、普通に買える1枚目だけだと、ベルリン・フィルの姿の半分しか見ることができない。つまり、監督が切り取ったベルリン・フィルのある側面だけ。

全体の構成はこうなっている。

Disc 1
1.「TRIP to ASIA, the Quest for Harmony, BERLINER PHILHARMONIKER and SIR SIMON RATTLE」(これが原題)(108分)
2.「TRIP to ASIA」の映像を流しながら(見ながら)、監督のトーマス・グールベ、音楽監督のシモン・シュトックハウゼン(カールハインツの息子)、このアジアツアーに同行し、すでに退団したチェリストのゲッツ・トイチュが鼎談し、説明していくテイク(本編と全く同じ108分)
Disc.2
1.本編に採用されなかった、指揮者や奏者のインタビュー
2.この公演で演奏された、トーマス・アデス(1971生まれ)の「アサイラ」全曲演奏
3.メイキング・フォト

一般公開で、劇場で見た人(Disc 1の1だけ見た人)は、ベルリン・フィルの奏者が、不安にさいなまれた表情で、不安や孤独を語る姿を見て、さらに、トーマス・アデスの演奏至難な「アサイラ」のリハーサルシーンで、うまくいかず何度も止まる姿を見て、衝撃を受けたことだろう。「ベルリン・フィルのメンバーも、人間なんだ」と。
監督たちが語ったテイクは、まあある意味自画自賛的な部分はあるが、このドキュメンタリーの舞台裏も含めて、ベルリン・フィルの多面性を見られて、興味深い。

さて、コレクターズ・エディションにのみ収録されたインタビューや、アサイラの全曲演奏を見ると、それと逆の感情を抱くことになる。
すなわち、メンバーのインタビューは自信に満ちあふれている。リハーサルではあんなにボロボロだった「アサイラ」は、本番の演奏では余裕しゃくしゃくで、楽しんで演奏しているのが分かるくらい。

そう、やはり、編集された映画は、明確な編集意図の下にまとめられているということだ。「人間」ベルリン・フィルを強調するように。だから、これだけ見て安心してはいけない。本編で採用されなかったインタビュイーには、例えばホルンのシュテファン・ドールやフルートのエマニュエル・パユがいて、彼らはインタビューを受けても不安な表情や表現は一切しなかったのだろう。本編で登場した人も、採用されなかったテイクは自信満々である。ベルリン・フィルに入るような人、あるいはベルリン・フィル的な高度ななにかに携わる人が必ず持つ、努力の結果といい意味での自意識が」自然に現れている。

ハート・ウォーミングな音楽ドキュメンタリーを楽しみたい方は、1枚目のディスクだけを、世界の姿をより多面的に知りたい方は、すべてを見ることをお勧めします。


posted by tak at 00:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽的思索 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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