2006年06月01日

ヤルヴィの交響的舞曲

jarvi_symphonicdance.JPG

Rachmaninov "Dances"
Symphonic Dances op.45
Dances from 'Aleko'
Capriccio bohémien op.12
The Philharmonia
Redcorded on 1991.11.14 & 15

ヤルヴィに「解釈」などという言葉は似合わない気がする。音楽は彼にとって解釈の対象ではなく、「芸」なのではないかと。
また、「アンサンブル」などというものは指揮者の仕事ではない(当たり前だが)とも思っているのでは。なんとなく思っていたことが、この演奏を聴いたことで私の中で焦点を結んだ。

このCDはラフマニノフの舞曲的な曲を集めたもので、有名な交響的舞曲から演奏は始まる。
出だしのオケが異常に低調だ。奏者の体が温もってない感じ。決してテンポは速くないのだが、オケはもうちょっと遅くしてほしがっている。木管の細かいパッセージが間に合ってなくて、オケはなんとなくいらいらしている。それでもヤルヴィはまったく意に介しない。
余談だが、フィルハーモニアというオケは、この時期はそれほどうまい奏者が揃っていないようだ。先日NHK教育で放送されたシノーポリの1987 年の来日公演では、それこそロンドン・シンフォニー級の奏者がごろごろいるという感じだったが、このラフマニノフの録音ではうまいのはコーラングレくらい。
1楽章の中間部でサックスとコーラングレが絶妙のソロを聴かせたかと思ったら、急に弦が歌いだし、冒頭の音楽が再現するころにはオケ全体がすっかりノリノリになっている。
何が起こったんだ?
そこから曲の最後までそのノリは途切れない。そんなに有名でないアレコやボヘミアン・ラプソディもそのノリのまま突っ切っている。

ヤルヴィという人は、おそらく何もやっていない。というよりむしろ、オケの自発性を引き出すための「示唆」をしているのではないか。
オケの意識より少し速いテンポ設定で緊張感を引き出す。本来は集中力を引き出すべきところを、緊張によってまとめてしまう。
歌は棒だけで「楽譜なりに歌いなさい」みたいな示唆をする。馬は馬なりに走らせるというやつだ。

緻密さでなく、ノリで聴かせる。これは「芸」だ。そして、豪胆でなければそんなことはできない。
ただ、残念ながら、緻密でない演奏は評価されにくいし、ノリは普通の人には分かりにくい。「いい!」と思っても、なぜいいのか説明できない。ヤルヴィの評価が安定しないのはそういうことだろう。
断っておくが、この演奏がラフマニノフの交響的舞曲の最高の名演とは決して言わない。私はこれとマッケラスくらいしか聴いたことがないし、もっとうまいオケならもっと良く聴かせられるだろう。


posted by tak at 00:02| Comment(0) | TrackBack(0) | ネーメ・ヤルヴィ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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