2006年06月21日

マッケラス/無彩色/学者

mackerras.JPG

マッケラスを初めて聴いたのはたぶんマーラーの交響曲第5番だと思う。
EMI音源のDisky盤。ケースにROYAL CLASSICSの文字と王冠の刻印があるやつ。
オーケストラはロイヤル・リヴァプール・フィル。
当時マッケラスのことは文字情報で知っていただけであり、ロイヤル・リヴァプール・フィルも名門であるのは知っていた。
聴いてみると、これまで聴いたことのあるマーラーの5番とは何か違う。「色」はないのにいろんなことがきちんとしているせいでまったく飽きない。
同時期に聴いたシベリウスの2番(LSO)も同じ。ハルサイ(LPO)も。ベートーヴェンの5番と7番(RLPO)はクライバーより速いのにニュアンスはちゃんとある。
やはり極めつけはシンフォニエッタ。WPhを無彩色で鳴らしまくる。

「誰かに似ている」と思ってよく考えたら、当時指揮をしていただいていた早川正昭先生だった。つまり、「学者」のアプローチ。
楽譜を徹底的に、学術的に読み込んで、音楽を理屈で組み立てる。音程、音量、バランス、テンポ、リズム、歌い方、すべてだ。
「流れのまま」とか「勢いで」とかそういうことは一切はない。「流れ」や「勢い」さえも理詰めで組み立てる。それを実現できるように理詰めで練習をする。
それで初めてこれらの無彩色なのに異様に立派な演奏が立ち現れるのだと思う。

彼の演奏が好きなのは、押し付けがましい解釈やルーティンな演奏を感じることがないところなのだ。
もちろん、流れに任せたほうが体で音楽を感じられることが多いかもしれない。しかし、彼はそれを良しとせず、頭で感じる音楽を目指しているのだと思う。
そうは言いながら、最近聴いたアリアーガのシンフォニーやヒンデミットの画家マチスみたいな曲がノリノリだったりする。

最近ベルリン・フィルの定期に80歳で初登場し、巨大なシンフォニエッタ(形容矛盾?)を演奏した。襟を正して聴かなければいけないような、礼儀正しい、かつ演奏者の愛を感じる名演であった。
なんとか生演奏を聴いてみたいものである。


ラベル:マッケラス
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