2006年06月22日

マッケラスの慈悲

mackerras_tito.JPG

マッケラスの最新録音、皇帝ティトの慈悲である。

温和さと中庸さに満ちたすばらしい演奏である。

聞き逃してはならないのは、オーケストラの豊かな表情であろう。
喜び、怒り、憧れ、諦観、失意、後悔、決意、慈悲。
歌手だけでなく、オーケストラがすべての感情表現を的確に行っている。
顕著なのは伴奏付きレシタティーヴォでせりふの前にオーケストラが先触れ的に感情を表現するところだろう。
オーケストラは特別なことをしているわけではない。むしろ、能面が角度や光の具合によって表情を変えるのと同じ程度の変化なのだ。
それでもきちんと表情が聴こえるのは、指揮者の徹底によるものに違いない。

これだけ長い曲の、これだけ変化する表情をどうやって指示するのだろう。たぶん、言葉での指示だけではなく、マッケラス自身の顔の表情によるものだろう。
これぞ、名人芸だ。

合唱はあんまりうまくない感じ。オケは技術的な問題点は全くなくうまい。とくにバセットホルンのソロなんかとてもよい。

録音はおそらくエディンバラ・フェスティバルの演目の総練習と並行して録音したものだろう。ホールの響きがとてもきれいだ。ライブだと客が入って残響がなくなってしまうだろう。スタジオ録音の最良の姿だと思う。

Mozart
La cremenza di Tito
Sir Charles Mackerras
Scottish Chamber Orchestra & Chorus
Rainer Trost, Magdalena Kožneá, Hillevi Martinpelto, Lisa Milne, Christine Rice, John Relyer
2005.5, Edinburgh, DG


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