2006年10月05日

ジュリーニのブルックナー/天上の音楽

giulini_bruckner9_swr.JPG

最近出たジュリーニ/シュトゥットガルト放送交響楽団のブルックナーの9番。
ああ、あのジュリーニだ。

第1楽章第1主題では、あのソニークラシカル時代特有の「気迫が希薄」な感じがしていたが、第2主題ではグラモフォン時代の濃厚な歌が戻っている。というかジュリーニも歌いまくっている。
いやはや、この録音に存在意義があるのかなあなんて思いながら聴き始めたのだが、ジュリーニ様に失礼してしまいました。
第3主題も、あのスタジオ録音的(ゲネプロ的?)グラモフォン録音より起伏が激しい。

展開部。テュッティはもうすっかり音がまとまっている。マジックにかかっている。
でも木管は下手だなあ。弦も音程が怪しい。弦だけ上手くて、木管はまあまあ、金管はだめというのはよくあるが、これは逆か。

再現部。ますます表現が濃いというか、激しいというか。オケ興奮気味。
第3主題もストレートに「嘆き」を突きつけてくる。でも何に対する嘆き?

コーダ。なんだかまた散漫になってきた。3連符がまじめに刻みすぎて流れの邪魔したり、見得を切るところが弱かったり。

第2楽章。第1主題はださださ。テンポ変わるし。張り切りすぎだし。第2主題。木管はなぜか調子よくなっている。第1主題の2回目もこんなに張り切って大丈夫か。
トリオ。全然問題はない。ないが、あのこの世のものとは思われぬ、無重力の音楽ではない。がんばりすぎ?
ダカーポした主部。そこまでやるか。アンサンブルを建て直し、巨大な音量で迫る。でもこれスケルツォ?

第3楽章。第1主題冒頭。弦が鳴らない。音が飛ばない。第1主題主部。かっこいい。かっこいいんだが、天上の音楽じゃないよな。ちょい濁り気味。
第2主題。これはいい。第1主題が戻る手前まで、万全。2回目の第1主題(冒頭とそっくりのヤツ)、これもいい。第1主題の変奏。素晴らしい!その主部。ああもうメンバー全員昇天気味。第2主題はもう天上の音楽。
本当はこの次の第1主題の第2変奏が、本当の天上への道の最終段階。ここもいい。この後のL。神が降臨したみたいなところ。本当に神が姿を現した。オケのプレイヤーも神懸かりの演奏。最初とはもうメンツが違うみたい。たぶんもう「自分じゃない」みたいな感じで演奏しているんだろう。
3連符と8連符が重なるところ。危なげなし。3連符のパートがいい仕事している。最後の審判みたいなところ。観客ももう全員昇天している。この世の音楽ではない。最後のクラスターがちょっとしょぼくて残念。コーダ前、第1主題第3変奏というかコーダ前のブリッジ。もう天からちゃんとお迎えが来てくれてます。
コーダ。完璧。シュトゥットガルト放送交響楽団の最良の姿。最後のチューバのコラールも完璧。つかの間の静寂。拍手は静かになってから。

脱帽。満足。

ところで、写真は84年録音の8番と並べているのだが、スーツの柄がほとんど同じ。8番の方はずっとダークグリーンの地だと思っていたが、グレーなのか。10年同じスーツを着ているというわけではないかもしれないが。こんなかっこいいスーツが似合うようになりたいものだ。

Carlo Maria Giulini
Radio-Siofonieorchester Stuttgart Des SWR

Anton Bruckner
Symphonie Nr.9 d-moll

1996.9.20, Stuttgarter Liederhalle


この記事へのコメント
シュトゥットガルトのこの時期の演奏ということで、買おうかどうか悩んでましたが、この記事を読んで買うことに決めました。ところで音質はどうですか?
Posted by takemoto at 2006年10月05日 21:33
> シュトゥットガルトのこの時期の演奏ということで、買おうかどうか悩んでましたが、この記事を読んで買うことに決めました。

放任主義者ジェルメッティの最後の頃かな。たぶん技術的にはいろいろ問題があるんだろうと思います。それをジュリーニが神の力(?)で克服する過程がいちばん感動するんですわ。

> ところで音質はどうですか?

申し分なしです。
Posted by 井上拓也 at 2006年10月06日 00:25
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