2006年10月20日

ザンデルリンクとベルリン・フィル

sanderling_BPO.JPG

ベルリン・フィルの自主制作で、ベルリンの放送局に眠るお宝音源を集めた12枚シリーズ "IM TAKT DER ZEIT" の中の1枚。
ザンデルリンクとベルリン・フィルの「熊」とタコ15。いわゆる「正規盤初CD化」というやつだ。

ハイドン。
第1楽章第1主題のダガダッダッダッというリズムの弾み具合。輝かしさの方向性。こういうぶぶんで、ベルリン・フィルというオケは本当に上手い。
小編成に聴こえるが、それでも巨大な音が出ている。
だが、3楽章までは野暮ったさがぬぐいきれていない。そう、なんだか音が厚くて野暮ったく聴こえてしまうオケなのだ。
ところが、4楽章、上手すぎ!急にさわやかな風が吹き始めるように、なにかオケの中の空気が変わる。こういうところで、やっぱり上手いんだなあと感じてしまう。
フィルハーモニーの大ホールらしく、見えない膜に覆われて本当の生音に触れないじれったさがあるが、それがまた本当にあのホールの中で聴いているリアリティがあってよい。でも、あのホールで聴いたことのない人には不満があるんじゃなかろうか。

ショスタコーヴィチ。
1楽章、ザザザンッとか鳴る音の「ンッ」の部分の美しさ。ホールの響きのよさとオケの音程の良さか。
テュッティでの縦の線の正確さと音圧の凄さ。
2楽章のチェロ・ソロ、トロンボーン・ソロ。本当に上手い。
いちばんシリアスな場面での合奏力、音圧も本当に凄い。でも本当にシリアスになりきれているだろうか。
3楽章はいい。シリアスになりきれている。漂う空気が「ソヴィエト時代」を髣髴とさせる(知らんけどね)。
4楽章の最初のワーグナーの引用部分は、ちゃんとワーグナーの楽劇の雰囲気が漂う。ザンデルリンクもベルリン・フィルもオペラをほとんど演奏しないにもかかわらず。
トリスタンの引用が終わって主部のテンポは、いつもと同じく遅いが、遅いなりにスピード感があるのがいい。
ハイドンの「ロンドン交響曲」の引用があるところも素晴らしい合奏力と音圧。ハイドンではポーズとしての悲劇だったのが、ショスタコーヴィチでは本当の悲劇が降りかかる。それもきちんと表現し尽くす。

総体として、ライブの限界も感じてしまうが、充分満足。


IM TAKT DER ZEIT

Kurt Sanderling
Berliner Philharmonisches Orchester

Joseph Haydn
Symphonie Nr.82 C-Dur "L'Ours"
1997.6.9, Berlin, Philharmonie, Live

Dmitri Schostakowitsch
Symphonie Nr.15 A-Dur op.141
1999.3.16, Berlin, Philharmonie, Live


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