2007年01月11日

ヤルヴィのシベリウス(DG 管弦楽曲集)

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ヤルヴィはBIS時代にも同じエーテボリ交響楽団と膨大なシベリウスの作品群を録音しているが、DGに移ってからも地道な仕事をしていて、主要な管弦楽曲を1990年代半ばに、交響曲全集をその10年後ぐらいに再録音した。
管弦楽曲集は合計3枚になるわけだが、その3枚がユニバーサルの廉価盤シリーズ"Trio"で出て、ふと気がつくと単売ものが手に入らなくなってしまった。
当初私は第2巻しか持っていなくて、1年くらい前にバークシャー・アウトレットで第3巻を(ドリル穴あり)、そしてようやく先ごろ第1巻をヤフーオークションで入手し、無事セットが揃った。

3枚を聴きとおした感想は、ばらつきなく見事な水準の高さで演奏の質が整っていること。そして、音楽の物語性。

演奏の水準については、下の曲目リストを見れば分かるとおり、1枚ずつ録音時期が違うのではなく、録音がすべて済んでから3枚に演奏を配分しているため。
エーテボリは決して名人ぞろいではない(クラリネットだけはめちゃうま)が、ヤルヴィの手にかかれば音の厚みとアンサンブルの精妙さが見事に引き出される。

音楽の物語性については、シベリウスがほとんどすべての曲に付与したストーリーをヤルヴィが丁寧に掘り起こし、それを完全になぞったような音楽作りをしているということ。
音楽がすべて言葉として聴こえてくるような気がするほど、ドラマティックである。これだけのドラマの表出がどれだけの指揮者に可能であろうか。

よくよく考えれば、エストニア出身のヤルヴィもスウェーデン人がほとんどであろうエーテボリ響も、フィンランド人であるシベリウスは母国人ではないわけだが、10数年にわたる共同作業の中で彼らのコンビがシベリウスの音楽の「肝」をつかむことができたのだろう。

ここの曲では、まず、アンダンテ・フェスティーボが好きだ。この演奏に惚れて今度のうちのオケの演奏会にこの曲を選んだほど。美しく、熱い。
さらに、レンミンカイネン組曲とタピオラ。この2曲は、ラフマニノフの交響的舞曲と同じように、交響曲全集には必ずいっしょに収録するように義務付けしてはどうか、レンミンカイネン組曲は交響曲第0番として、タピオラは8番として、なんて妄言を吐かせるほど素晴らしい演奏であり、素晴らしい曲だ。
そしてポヒョラの娘。BISの旧録音も素晴らしいが、さらに涙腺を緩ませるような温かみに満ちた音楽だ。

もちろんDGではシベリウスの管弦楽曲をこれだけ網羅したセットは他にないし、彼らのコンビによる交響曲全集も単独の指揮者とオケによるものとしてはDG唯一である(カラヤンとオッコ・カムが振り分けたものはある)。ぜひ長らくカタログにとどめていただきたいものだ。

ちなみに、いまや"Trio"シリーズのチープな装丁でしか手に入らなくなったこのCD、オリジナルの単売もののジャケットは、第1巻がJan Rieckhoffという人のイラスト(写真のコラージュ)、第2巻が、フィンランドの画家Akseli Gallen-Kallelaが1897年(作曲と同時期)に制作した「レンミンカイネンの母」という絵、第3巻がSally Mayman(オーストラリアの人らしい)撮影の写真という、かなり凝ったものである。廉価盤化でこういった「作品」が失せてしまうのはもったいないと思う。


Neeme Järvi
Göteborgs Symfoniker

Jean Sibelius

-- 447 760-2 --
Karelia Suite op.11 (1992.12 rec.)
Luonnotar op.70 (1992.12)
soprano: Soile Isokoski
Andante festivo (1994.5)
The Oceanides op.73 (1995.8)
King Christian II op.27 (1995.8)
Finlandia op.26 (1992.9)

-- 453 426-2 --
Pohjola's Daughter op.49 (1994.3)
Night Ride and Sunrise op.55 (1995.8)
Four Legends from Kalevala (Lemminkäinen Suite) op.22 (1996.4-5)

-- 457 654-2 --
En Saga op.9 (1992.12)
Spring Song op.16 (1994.5)
Four excerpts from the incidental music to "Kuolema" (1995.5)
1. Valse triste op.44 No.1
2. Scene with Cranes op.44 No.2
3. Canzonetta op.62a
4. Valse romantique op.62b
The Bard op.64 (1994.5)
Tapiola op.112 (1995.8)


posted by tak at 01:01| Comment(0) | TrackBack(0) | ネーメ・ヤルヴィ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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