2007年01月24日

ポール・オースターのミスター・ヴァーティゴ

mr_vertigo.JPG

久々に小説を読んだ。「ムーン・パレス」とか「幽霊たち」とか「偶然の音楽」とかで有名なポール・オースターの「ミスター・ヴァーティゴ」。1994年の作で、翻訳はハードカバーで2001年に出ていたようだ。柴田元幸氏の翻訳。
本当は「銀河ヒッチハイクガイド」がほしくて鳥取中の書店を探していたのだが、河出文庫はどこも非常に在庫が少なく、代わりに(ならないけど)たまたま文庫が新刊で出ていたので買った。
ポール・オースターの名前はよく知っているのだが、読むのは多分初めて。なぜか「静謐」な作家と思っていたが、この作品は「饒舌」。

いやはや見事な「おとぎ話」だ。半分は。現実にはありえない「空を飛べる少年」の成長過程に、ご都合主義的に偶然が重なって、ストーリーはどんどん展開していく。語り口は「キャッチャー・イン・ザ・ライ」と同じ「おとなこども」のそれ。
そのご都合主義的な少年時代だけで話を終えてもよかったんじゃないかと思っていたのが、読んでいくにしたがって、さらに深く深く物語が沈降していって、最後には何か非常に重たいメッセージを受け取った気になる。
半分くらい読んで「これ以上まだドラマが作れるの?」と思うとちゃんとドラマは続く。後半はどの時点でもその繰り返し。最後の部分は本当に付け足しっぽいのだが、どう考えてもそれがないと成立しないところがこの小説の面白さだろう。

奇想天外なテーマとプロットはもちろん、その不恰好な構成自体も愛すべき作品であろう。

<追記>
CLASSICAさんのWhat's New!の最新エントリー「お客さま、危険ですのでお席での空中浮遊はお控えください(意味レス)」に受けまくり。この小説がまさにこんな感じの脱力感なんです。
トラバ打たせていただきました。


ラベル:日記
posted by tak at 00:40| Comment(2) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
話題が少し古いですが、ヴァント&ミュンヘンのブルックナー4番(Profil)を買いました。エッジの効いた凄演で大満足です(^^)。
ところで今度CDデッキを買い換えようと思いまして、CECを候補にしていますが、どんなもんでしょうか。
Posted by takemoto at 2007年01月24日 09:43
Profilの一連のCDはどれも魅力的なんだけど、買い控え中です。ヴァントはミュンヘンとは本当に相性がよかったんだろうね。
CECは良い評判をよく聴きますが、ひょっとしてSACDは聴けないのかな。たいていハイブリッドだから聴けなくても全く困りはしないんですがね。
Posted by 井上拓也 at 2007年01月25日 00:05
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