
圧巻!
大阪のザ・フェニックスホールに聴きにいった、馬渕昌子先生のヴィオラリサイタル。
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シューマン:おとぎの絵本op.113
ヒンデミット:ヴィオラ・ソナタop.11-4
西澤健一:Into the Dark After a Little While for Viola and Piano
ショスタコーヴィチ:ヴィオラ・ソナタop.147
馬渕先生は、紀尾井シンフォニエッタなど、主にアンサンブルで活躍されるヴィオラ奏者。エレガントである。
シューマンも良かった。ヒンデミットも素晴らしかった。西澤も悪くない。
そして、ショスタコーヴィチは別格だった。
テンポ設定、作曲家の考え方について、馬渕先生は初演者のドルジーニン氏にじきじきに教えを請うたとのことだ。
おそらくそのことによる自信と明確なイメージによるものだろう、揺るぎない=揺らがないテンポ感が曲の構成をがっちりと固め、曲への思い、作曲家への思い、初演者への思いがすべての行間を埋め尽くして、テンポは遅くとも意味の詰まった音楽を最初から最後まで途切れさせなかった。
特に3楽章は、作曲家の、無念さというよりは「表現したいことは曲で表現できた」というような晴れやかさが満ち満ちていた。ベートーヴェンの「告別」が、つまりその行進曲のリズムが、まるで楽しげな足取りに聴こえるような。その晴れやかさが逆に胸に沁み、思わず涙ぐんでしまった。
客席の痛いような静寂も演奏に貢献していた。
3月11日には東京の白寿ホールで東京公演があるそうなので、東京の人にはこのショスタコーヴィチを聴くだけにでもぜひ行ってほしい。ヒンデミットは事前勉強をお忘れなく。どこが第何変奏か分かると面白さ倍増です。
ところでこのザ・フェニックスホール、アンコール中にステージのバックの壁面が上がって、御堂筋が現れた。そんなのあり?コンサートという非日常と都会の街並みという日常が交錯するさまはかなり刺激的であった。
ちなみに鳥取大阪間は、行きは3時間10分、帰りは2時間30分。鳥取は雪はあったが路面は凍っていなかったので通行には何の問題もなし。