2007年03月28日

ギーレン/ブラームス/シェーンベルク

gielen_brahms_schoenberg.JPG

ブラームスのピアノ四重奏曲第1番シェーンベルク編曲版の、Inoue collection 第3弾(笑^2)。誰が読むんだろう。

昔懐かしきIntercordレーベルのGIELEN-EDITION。

ミヒャエル・ギーレンという名前を見た瞬間に、オタクならばあのギスギスした機械のような音響を想像するに違いない。
そして、この録音でも、その想像に違わずギスギスした名演である。

分かりにくい比喩であるが(というか比喩なのか)、5cm四方くらいの3mm厚のステンレス板で、高さ10mくらいの宮殿を組み立てたような演奏である。
5cm四方で3mm厚なんだから相当硬い。なのに10mの規模になると、全体として自重でしなりが生じる。
つまり、微視的には屹立した音響が飛び交っているのに、全体として大きな歌を形成している。ベルリン・フィルとかバイエルン放送響と違って南西ドイツ放送響はスーパーSクラスのオケではないから、個々の奏者の音の魅力とかはあんまりないんだけど、トータルとしてはやはり上手いオケであるし、歌も歌う。
まさにマニア向けの演奏である、良い意味で。

ところが。
アントン・ヴェーベルン編曲のバッハの「6声のリチェルカーレ」になると、めちゃめちゃロマンティックな演奏になっている。1m角の柔らかいアクリル板で作った半透明の家の模型のような(意味不明)。
本来ロマンティックなブラームス/シェーンベルクが即物的で、スカスカな感じのバッハ/ヴェーベルンが情緒的というのは、ギーレンならではだろう。

シェーンベルク編曲の皇帝円舞曲は、編成が編成だし、まあ普通の演奏だと思う。この長い曲をこの編成で飽きずに聴かせるのも大変だと思うが。
ちなみに、フルート、クラリネット1&2、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ピアノ。「月に憑かれたピエロ」の巡業公演のアンコールとして編曲されたそうで、有名な「私的演奏協会」のための一連のリダクション編曲(ブルックナーの7番とかマーラーの4番や大地の歌などが室内楽編成で演奏できるように編曲された)とは成立時期が違うようだ。

というわけで、この盤もヤルヴィとは違う意味で「マニア御用達」である。でも、インターコードのギーレン・エディションなんて、今どきどうやっても手に入らんかも知れんね。

ちなみに、シェーンベルクがこのブラームスのピアノ四重奏曲を編曲するに至った理由やら何やらというのが文章(手紙)になっていて、この盤のライナーノートに全文が掲載されているので引用する。なお、ドホナーニ盤には My reasons のみ、ヤルヴィ盤にはそれと My intentions が掲載されている。

"My reaons:

1.I love this piece.
2.It is seldom played.
3.It is always played badly, because the better the pianist is, the louder he plays, and the strings cannot be heard. I wanted to hear everything, and I have achieved this."

"My intentions:

1.To remain strictly in Brahms' style and not to go further than he would himself have gone if he had been alive today.
2.To follow carefully all the laws that Brahms himself followed, and violate none of those laws known only by musicians who grew up in his vicinity."

"How I did it:
I have been completely familiar with Brahms's style and his principles for nearly 50 years. I have analysed many of his works for myself and with my pupils.
As violist and cellist I have played this and many others of his works frequently; therefore I knew what it should sound like. I only had to transfer the sound to the orchestra, and I have done this and nothing else.
Of course there were serious problems. Brahms loves very low basses, for which the orchestra posseses only a small number of instruments. He loves full accompaniment with brokenchord figures, often in various rhythms. And most of these figures cannot easily be changed, because in his style they are usually of structual significance. I believe I have solved this problem; but my achievement will not mean much to musicians of today, because they do not know the problems; and when one shows them what problems there are they are not interested in them. But they are significance to me."

綴りはライナーノートのままです。


Michael Gielen
SWF-Sinfonieorchester Baden-Baden

Johannes Brahms
Klavierquartett Nr.1 g-moll op.25
in der Orchestrierung von Arnold Schönberg
1991.4, Hans Rosbaud-Studio, Baden-Baden

Johann Sebastian Bach
Sechsstimmiges Ricercar aus "Musikalischens Opfer" BWV1079
in der Orchestrierung von Anton Webern
1991.5, Hans Rosbaud-Studio, Baden-Baden

Johann Strauss (Sohn)
"Kaiserwalzer"
für sieben Instrumente gesetzt von Arnold Schönberg
1990.4, Hans Rosbaud-Studio, Baden-Baden

Intercord


posted by tak at 01:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 聴いた音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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