2007年05月14日

マエストロドホナーニ、ブラーヴォ!

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すばらしい演奏!

まずはウェーバーの「魔弾の射手」。
指揮者もオケも、最初から全く気負いもなく、シンフォニーホールの空間をあっという間にドイツの深い森に連れて行ってしまう。
オケは音程もいいし音もいいのになぜか靄がかかったようになっていて、それがまた曲想にマッチしている。そういう音をオケが出そうと思って出しているのだ。
弦は16型、対抗配置。

メンデルスゾーンのヴァイオリン・コンチェルト。
オケは弦を12型に削減して、しかもさらにソロ・ヴァイオリンの音量に合わせて、全体の音量を控えて、まさに裏方に徹する演奏。これがまた、ソロ・ヴァイオリンをふんわりと霧で包み込むような美しい演奏であった。
諏訪内晶子女史のソロは、あれはどうなんだろうか。
レガートではブリリアント(ちと音がおばさんっぽいが)で、細かい音はくっきりと粒立ちがよく、細かいところまできちんと弾けているし、よく考えられている。
でも、オケを置き去りにして一人旅、あるいは「一人で生きていくの!」みたいなのは、もう流行らないんじゃないだろうか。特に3楽章では、細かい音符で聴き取りがたいところでどんどん速くなるものだから、気が付くとオケが半拍とか1拍先遅れているなんてことがある。
そういうところでも、指揮者もオケも当然ながらピタリとあわせてくるんだが、そういうスリルって必要なのだろうか?1楽章の後半とか2楽章の後半とか、オケと一体となってソロが弾く部分もあったが、そういうところは絶品だったのだ。競奏じゃなくて協奏の方がいいと思う。
聴衆はとても沸いていたので、まあたいていの方はあんまり気にされなかったんでしょう。

悲愴は、一切感傷性のない、というか、人の住まない観念の世界のような、おそろしいまでに厳しい音楽だった。
オケが歌いたくてテンポが間延びするとか、ご都合主義的な演奏を一切許さない。テンポはこう、タイミングはこう、歌いまわしはこう!いやはや硬派である。
4楽章の曲中の最大音量のところにきちんと頂点が来る。4楽章もテンポの速いこと!嘆きとか悲しみとか、そういう情緒は一切なく、浄化とか彼岸とか、崇高さを感じさせる。

アンコールは、スラブ舞曲第2集第2番。あのセンチメンタルな音楽が、恐ろしく気高い精神で演奏される。
本プロの3曲のいい意味で靄がかかった演奏とは違い、クリスタルのようなクリアさであった。

さて、今回の演奏会はどれくらいリハーサルをしたのだろうか。ほとんどリハ無しだと言われても全然不思議ではない。オケにとってはもう数え切れないくらい演奏した曲ばかりだろうし、あれだけ示唆的な指揮であれば、細かい練習をしなくても「こう弾くんだ」というのが瞬時にオケが理解できる。そういう意味ではヤルヴィとよく似ている。
また、今日は客席は大いに沸いていたが、こういうタイプの演奏を許せない人がいてもこれまた不思議でない。「どこが面白いの?」みたいな人もいそう。でも、これが面白いんだよなあ。

残念ながらサインはもらえなかった。姿だけは間近で見られた。指揮振りは矍鑠としているが、足取りが重く、体調が万全でないのかもしれない。

今回は往復とも国道9号をひた走り、京都府瑞穂町で国道173号で大阪入り。往復ともほぼ4時間半。普通の人の生活時間帯なので、制限速度で走る車が多くて、時間は稼げなかった。でもこの経路は景色がいいので許す。

ところで、今日座った席の隣のおばちゃんが、間の休憩のときに話しかけてきて、ひとしきりいろいろとお話させていただいた。いやはや、サライネスの漫画にあるように、大阪のおばちゃんは知らん人でも平気で話しかけてきはるね。
よく聴いたら某有名姉妹アーティストのご親戚だそうで、えらいびっくりしてしまった。また大阪のコンサートで会えたら楽しいが。

ちなみに今回のCDの獲物は、ラベック姉妹とサイモン・ラトルなどのバルトークの2台のピアノと打楽器のためのソナタ(EMI)、コンチェルトと、ベーム/WPhのブルックナーの3&4(DECCA)の二組だけ。ちと最近貧乏なもので。

写真は、プログラムを買った人に配られた、NDR作成の独語・英語の冊子。2枚目の写真には、フルートを吹くドホナーニ、兄と写るドホナーニが見える。


この記事へのコメント
>ベーム/WPhのブルックナーの3&4(DECCA)
井上さんにしては、えらく基本的なアイテムを買われましたね。
Posted by takenoko at 2007年05月14日 15:48
基本的なアイテムは、何かしら聴く機会があるものだから、ついつい自分で買うのを先延ばししてしまうんです。4番なんて15年も聴いてないけど、多分隅々まで覚えているはず。
Posted by 井上拓也 at 2007年05月14日 23:28
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ハンブルク北ドイツ放送交響楽団
Excerpt: 〜ドイツのオーケストラ・シリーズ〜ハンブルク北ドイツ放送交響楽団
Weblog: Tany&wife's blog from 新浦安
Tracked: 2007-05-21 00:02
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