2007年07月28日

ティーレマンのブルックナー

NHK-FMでクリスティアン・ティーレマンがウィーン・フィルを指揮したブルックナーの交響曲第8番が放送された。リアルタイムでは聴けないので、エアチェックし、帰宅後に聴いた。

1楽章では、先行き不安なほどの脱力ぶり。全然緊張していない?8番を自然体で振れる、演奏できるというのもすごいし、こんなリラックスした1楽章も貴重ではある。
2楽章のトリオあたりから趣が変わる。さっきのリラックスはそのままに巨大な音楽が立ち上がってくる。以前の来日公演の7番でも聴かれた、ビンビンに力が漲ったフォルテ。
3楽章では冒頭からダイナミクスを細かく変化させ、ただ音を鳴らすのではなく、ドラマを形作っていく。ティーレマンにはブルックナーが8番でどういうドラマを書きたかったのか、完全に読みきっているようだ。ハイティンクは8番で神々を描くが、ティーレマンは人々を描く。悩み、傷つきながらも1歩1歩人生という山を登る「人」の姿を(ほんとかね)。3楽章は自信に満ちて演奏されるのが常だが、こんな愁いに満ちた演奏がありうるというのは驚きである。そうやって到達する第1主題の3回目の提示の切なさと言ったら!その後のクライマックスの強さ!音楽を、ドラマをコントロールしつくしている。
4楽章でも、常日頃の強さではなく、「やさしさ」が支配する。ブルックナーの半分はやさしさでできています、なんて思えてくる。

見事な演奏であった。


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