2008年10月17日

ヴェルヴィエ音楽祭2007

vervierfestival2007.JPG

ヴィトルド・ルトスワフスキ パガニーニの主題による変奏曲
 ピアノ:マルタ・アルゲリッチ、ガブリエラ・モンエテーロ
ロベルト・シューマン 「詩人の恋」から第10〜12曲
 バリトン:トーマス・クヴァストホフ
 ピアノ:エレーヌ・グリモー
フランツ・シューベルト 鍵盤のための小品
 ピアノ:ラルス・フォークト
ロベルト・シューマン ピアノ五重奏曲から第2,3楽章
 ピアノ:エレーヌ・グリモー
 ヴァイオリン1:ルノー・カプソン
 ヴァイオリン2:庄司紗矢香
 ヴィオラ:ラルス・アンデルス・トムター
 チェロ:ミッシャ・マイスキー
クロード・ドビュッシー 子供の領分
 ピアノ:ネルソン・フレイレ
ベラ・バルトーク ヴァイオリン・ソナタから第3楽章
 ヴァイオリン:ルノー・カプソン
 ピアノ:マルタ・アルゲリッチ
モーリス・ラヴェル ヴァイオリン・ソナタから第1楽章
 ヴァイオリン:ルノー・カプソン
 ピアノ:エレーヌ・グリモー
フランツ・リスト 愛の夢
 ピアノ:エフゲニー・キーシン
ジョルジュ・ビゼー/ウラディーミル・ホロヴィッツ カルメン変奏曲
 ピアノ:エフゲニー・キーシン
ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲から第3楽章
 ヴァイオリン:ジョシュア・ベル
 UBSヴェルヴィエ祝祭管弦楽団
 指揮:サー・アンドルー・デイヴィス
medici arts 3078058

1994年に創設され、わずかな期間で高い評価を得られるようになった、スイスのアルプスの街で開かれる「ヴェルヴィエ音楽祭」の、2007年のハイライト。
演奏されている曲も一つの楽章だけだったりするし、全体でもわずか80分の収録なのに、恐ろしい密度の音楽が詰まった1枚だ。
本物のスターが、自身の持てる能力をぶつけ合ってアンサンブルするさまは、哲学論争や禅問答や格闘技を一緒くたにしたものを見るような、ものすごく刺激的なものである。
単位時間当たりの音符数が格段に多いバルトークのソナタとホロヴィッツ編曲のカルメン変奏曲は、それぞれルノー・カプソン、エフゲニー・キーシンの名技はもちろんそのミクロの時間の中に押し込まれた音楽の濃さに愕然とする。
また、シューマンのピアノ五重奏曲では、それぞれが音楽をする意味を順番に語るかのようである。やはり、音楽には、個人のそれまでの人生がにじみ出るものなのだなあ。
エレーヌ・グリモーの室内楽演奏が見たくて買ったDVDだが、大満足。
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2007年10月27日

グリモーのベートーヴェン

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すっかりDGアーティストとなったエレーヌ・グリモーのDGにおける5作目のディスク。ボーナスDVD付き(限定版のみ)。

エレーヌの演奏は、15年くらい前に実演を聴いている。
東京のどこだかのオケをセルジュ・コミッシオーナが振ったコンサートで、ベートーヴェンのピアノ・コンチェルトの4番だった(ちなみにメインはエルガーのエニグマ変奏曲)。熱がこもりつつしなやかな息遣いの、構築感と軽やかさが同居した素晴らしい演奏だった。もちろんサインをもらいに行って、ステージの毅然とした姿とはまた別のチャーミングな笑顔に心奪われたものである。

ところが、その後に発売された録音からは、実演で感じられた情感はあまり聴こえず、実直さの方が目立っていた。僅かに、ザンデルリンクとのブラームスの1番と、マズアとのベートーヴェンの4番の、いずれもライブ録音にだけはしなやかな息遣いが十全に感じられた。

今回の「皇帝」は、実直さとしなやかさが上手く折り合いをとって同居した、エレーヌの進化(=深化=真価)を感じさせる演奏である。何気なく正確に演奏しているだけなのに、音楽の素晴らしさを常に感じさせる演奏だ。

ウラディーミル・ユロフスキの指揮するシュターツカペレ・ドレスデンがまた面白い。ある意味モダンオーケストラのフォーマットでの最新の進化系ではなかろうか。
なんともごつごつした、しかしながらこれまた音楽を感じさせる。モダンオケ的なきれいに化粧した演奏でもないし、ピリオド・アプローチの軽やかに弾むリズムとも違う。おそらくこれを普通の人が聴いたら「下手」と思うだろう。だが、聴こえてくる音は常に愉悦に満ち、音楽の素晴らしさを伝えるのだ。
DVDに収められたリハーサルを見ると、オケのメンバーはなんとも憮然としていて、全然面白そうに見えない。なのに出てくる音は面白い。このギャップは何なんだろう。

ピアノ・ソナタも同様に、何にも特別なことはしていない実直な演奏なのに、類まれなセンスを感じさせる。

ちなみにDVDは前述の皇帝のリハーサルの間にインタビューに答えるようなモノローグが挟まった映像と、写真集。私より二つも年上のエレーヌはなんとも若々しく輝かしく見える。

エレーヌはこれからも目が離せない。


Hélène Grimaud
Vladimir Jurowski
Staatskapelle Dresden

Ludwig van Beethoven

Concerto for Piano and Orchestra No.5 in E flat major, op.73 "Emperor"
2006.12, Lukaskirche, Dresden

Piano Sonata No.28 in A major, op.101
2007.7, Berlin, Siemens-Villa

DG
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2006年12月30日

美しきエレーヌ

illusion20061229.JPG

BS2でN響アメリカ公演が放送され、エレーヌ・グリモー独奏のブラームスのピアノコンチェルトの1番を見ることができた。リアルタイムではチェロの練習をしながらだったので、用事を済ませてから深夜にゆっくり見た。
名演!
まずは、あれだけのいろんな意味で大きな曲を何の疲れも見せず弾き通すスタミナ、細かいところも全部聴こえるテクニック(もちろんミスタッチはあるが)、そして何よりも「思慮深さ」。
エレーヌのブラームスの1番といえば、エラートから出ているザンデルリンクとの協演が有名だし、名演として評価が高いが、そこから数段進化している。
この曲をブラームスが書いたのは25歳。その若さとは関係なしに「思慮深い」この曲にふさわしい「思慮深さ」を身に着けたようだ。

この曲については、ホルスト・シュタイン先生とバンベルク交響楽団とラドゥ・ルプーの「天上に昇るように神に招かれている」ような究極の演奏を聴いてしまっていて(同じコンサートを聴きに来ていたマリア・ジョアン・ピレシュがぼろぼろ泣いていた。もちろん私も)、たいていの演奏には反応しないのだが、この演奏はまた違った方向性の「音楽とともに生きる喜び」に満ちていて、良い。

N響もエレーヌの演奏に反応して、深みのある演奏で見事なサポートをしていた。毀誉褒貶激しいこのオケであるが、「分かってる人」と「分かってない人」の混在を感じた。後輩のT君、がんばれよ。アシュケナージについては、表現もリズムも良いが、音程を管理できてないんじゃないだろうか、どうしてもけばけばしくなってしまう。というよりもピアノっぽい音程感覚?それでも「海」も「エニグマ」もいいところはいい演奏だ。

その前に今日は砂丘イリュージョンのボランティア。外に立って案内とか募金活動などをした。5時間くらいのうち4時間は外にいたが、だんだん寒さに慣れてきて、寒いのは苦にならなくなった。と思ったら、帰りの車の路面温度計を見たら行きの2.5℃より高く5.5℃。慣れたというよりは暖かくなったのね。

ところで、なぜわざわざ「路面」温度計などと言うかというと、本当に路面にセンサーが向いていて路面の温度を測っているのだ。だから道端によくある外気温計とは違う温度表示をしていることが多い。
アルファ・ロメオの人にとっては、温度がどうとかより、路面が凍っているかどうかが大事なのだ。温度が3.5℃まで下がると「ピコーン」と警告音を発して「possible ice on road」と画面に表示する。ちなみに雪が積もってたり氷が張ってたりしても「possible」である。
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2006年07月04日

グリモーの珍しい録音

grimaud_withbassoon.jpg

グリモーがファゴットの伴奏??
HMVでグリモーのCDを検索してて見つけた驚愕(私だけ?)の1枚。
ライナーでファゴット奏者キーゼッカーのバイオグラフィを見て納得。
"In his spare time he enjoys the company of his dogs Bosco and Willi, and his wolves Axel and Jossi."
そう、狼つながりなのだ。グリモーが熱心な狼の保護者であるのは有名であり、このCDの製作者もこの1文でこのCDが成立した背景が納得されると分かっているのだろう。特にグリモーファンには。

演奏はフツーに良い。何の問題もない。
ファゴットの音色とスタジオ録音の適度なリラックス感が相まって、ぼんやり聴くのにちょうど良さそうだ。
当然初めて聴く曲ばかりだが、当然のようにヴィラ=ロボスの曲が一番いい。

ちなみにファゴットのキーゼッカー、1997年以降はスイスのザンクト・ガレンのオーケストラで吹いているらしい。それまでの活躍の場がほとんどアメリカだったが、狼を追いかけてスイスまで行った?
またまたちなみに、アルバムの題名のAmericasは両アメリカ大陸の意味のようで、Etlerはアメリカ、オズボーンはカナダ、その他はブラジルで、コリンホスとはブラジルの軽音楽のようだ。

Bassoon Music of the Americas
Jeff Keesecker, bassoon
Hélène Grimaud, piano

Sonata for Bassoon and Piano / Alvin Etler
Three Etudes for Bassoon and Piano / José Sinquera
Rhapsody for Bassoon (solo) / Willson Osborne
Ciranda das sete notas / Heitor Villa-Lobos
Three Chorinhos

1995.12.6-7 ("Three Chorinhos", unkown)
aca Digital Recording, Inc. (Atlanta)
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2006年06月20日

グリモーの肖像

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セールで1,500円弱と安かったのと、ポートレイトって言うくらいだから写真集になっているのかと思って買ったら、写真はジャケットの表だけ。
なんじゃそりゃ。でも、この写真はこれまで使われていないものなので、赦す。

なんせ、演奏はすべてこれまで発売されたもののコンピレーションなんである。このCDを買うような人の90%は全部持っているはずだ(根拠なし)。そのうち半分はサインをもらっているに違いない(ますます根拠なし)。もちろん私ももらっている(爆)。

ちなみに。ライブのベートーヴェンのコンチェルトの4番、ブラームスのコンチェルトの1番は文句なしにすばらしい演奏。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第31番も好みの演奏。
そのほかはなんとなくギクシャクしているように感じる。

ワーナー時代から最新のDGの録音までは10年くらいの間があるわけだが、その間グリモーは変化を続けているわけで、DGの録音とこのportraitを続けて聴いて、そのさまはなんとなくジュリエット・ビノシュに似ているなあと感じた。

Schumann Piano Concerto, 1st mov. David Zinman / DSOB
Brahms Klavierstücke op.118, No.3
Brahms Klavierstücke op.119, No.3
Beethoven Piano Concerto No.4, 1st mov. Kurt Masur / NYP
Gershwin Piano Concerto, 3rd mov. David Zinman / Baltimore SO
Beethoven Piano Sonata op.110
Brahms Piano Concerto No.1, 3rd mov. Kurt Sanderling / SKB
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2006年06月17日

エレーヌ・グリモー/Reflexions

grimaud_reflexions.jpg

なんでHMVはフランス仕様なんかを入荷しちゃうのかな。グリモー自身のコンセプトも全然読めん。

グリモーは、東京に住んでいるときに、都響かなんかのコンサートでコミッシオーナの指揮でベートーヴェンのピアノ・コンチェルトの4番を聴き、サインしてもらってから、もうメロメロ(死語)になってしまった。ジャケットはアイドル系、演奏は硬派、素顔はキュート。

グリモーは実演の人だと思っている。Erato-Teldec時代のスタジオ録音で満足できるものはなかった。
また、グリモーの演奏はあまりにピアニスティックであり、その点において私自身にはなかなか理解しにくいところがある。

今回のアルバムでは、コンチェルト、歌曲伴奏、チェロ・ソナタ、ソロという4つのフェイズでの演奏が収録されている。スタジオ録音であることが問題になることはない。
しかし。ピアニスティックであることがこんなに気になるとは思わなかった。

ピアノ・コンチェルトはとても良い!オケが良い。ピアニスティックなソロのすべてのパッセージにすべての楽器がぴったりと寄り添っている。指揮者がどういう仕事をしているかはよく分からないが、SKDの実力あってのことであることは間違いない。ソロの演奏スタイルはこれまでこの曲で聴いたことのないやり方だが、「こんな方法があったのか!」というような目から鱗の演奏。伸縮自在だがつぼにはまった揺らせ方。カデンツァに付け足しがあるようだが、なくてもいいんじゃないかなあ。

クララ・シューマンの歌曲の伴奏は良いと思う。歌とピアノのつかず離れずな関係が立体感を出している。

ラプソディも良い。とても良い。構築的にガシガシ弾かなくてもブラームスの詩情が漂っている。

しかし。チェロ・ソナタは私には受け入れられない。歌曲がいいのにチェロがだめなのはなぜかは分からない。おそらく私がこれを「室内楽」として聴いてしまうせいだろう。つまり、「アンサンブル」しているかどうかを聴いてしまうのだ。私には「アンサンブル」ではなく違う世界の並列に聴こえてしまう。つまり、チェロの行いに対する「感応」が感じられないのだ。または、チェロの都合とピアノの都合を妥協させてないと言うべきか。流れ重視のチェロに対して独自の世界を構築してしまうピアノ。ピアニスティックなその行き方は他の組み合わせとまったく同じだが、チェロとは溶け合わない。でも、その行き方もある意味「新発見」的演奏なのかもしれない。

ともかく、全体として、「聴いて良かった」アルバムである。妙にコンセプチュアルなせいでグリモー・フリーク以外に足踏みさせてしまいそうでもったいない気がする。

Helene Grimaud / Reflexions

Robert Schumann
Concerto pour piano et orchestre
Staatskapelle Dresden / Esa-pekka Salonen

Clara Schumann
Lieder
Anne Sofie von Otter

Johannes Brahms
Sonate pour piano et violoncelle no.1
Truls Mork

Johannes Brahms
Deux Rhapsodies, op.79
posted by tak at 00:52| Comment(0) | TrackBack(0) | エレーヌ・グリモー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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