2009年05月18日

クナッパーツブッシュのワーグナー

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以前、なかなか手に入らないディスクのことを書いたことがある。
http://takmusik.seesaa.net/article/23615708.html
そのうち、最後まで入手できなかった、クナッパーツブッシュのワーグナーを、ついに入手することができた!
19年くらい前に、今はなき渋谷WAVEで見かけたのが最後。以来、中古CD屋で探し続けるが、ついぞ見かけることがなかった。
それが、ついに某オークションに出品。すでに入札者はあり、最後の5分でかなり競ったが、無事に落札できた。ごめんね。でも真剣度が違うのよ。

今さら内容を説明するまでもない、「一家に一枚」的名盤であり(もちろんみんな持ってるよね?)、演奏の素晴らしさに疑問の余地はない。当然ながら常に発売はされていたのだが、それは国内盤だけ。不思議なことに輸入盤では、初回のデジタル・リマスター盤はあっという間に市場に出回らなくなり、ようやくDECCA LEGENDで復活したのが数年前。今確かめたら、HMVのカタログからはすでに落ちている。
国内盤はちゃんとある。しかも2種。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/882997
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2757881

ちなみに、初期盤だから音がいいかと思って、手持ちのKING盤(ちゃんと同じ音源は国内盤で持っていた)と比べたけど、違いはよく分からず(笑)。初期盤の方が心持ち音場感が豊かな気がする。
おかげで、この演奏の良さがより強く感じられる気がする。この演奏の良さとは、ウィーン・フィルの緊張感。クナッパーツブッシュは、おそらくウィーン・フィルが最も共演を望んでいた指揮者だろう。その緊張感と高揚感が感じられる。緊張感にはもう一つ、録り直しがきかない、ということがある。各奏者がちょっとしたミスをしても、クナッパーツブッシュは録り直しの必要を感じない可能性がある。奏者にとってそれは屈辱である。だから、細心の注意をソロにこめる。それが演奏に反映されているのだ。

さて、光が当たらないように聴かないで保管しておこう!(爆)

Kirsten Flagstad, soprano (Kundry)
George London, baritone (Wotan)
Birgit Nilsson, soprano (Isolde)

Hans Knappertsbusch
Wiener Philharmoniker

楽劇「神々の黄昏」から
 夜明けとジークフリートのラインへの旅
 ジークフリートの葬送行進曲
(1956年、KING盤では1957年10月)
舞台神聖祭典劇「パルジファル」から
 第2幕 クンドリの語り「幼子のあなたがお母様の胸に抱かれていたのを見た」
(1956年、KING盤では1956年6月)
楽劇「ワルキューレ」より
 第3幕 ヴォータンの別れと魔の炎の音楽
(1958年、KING盤では1958年6月)
楽劇「トリスタンとイゾルデ」より
 前奏曲と愛の死
(1960年、KING盤では1959年11月)
ウィーン(多分ゾフィエンザール)録音

DECCA 414-625-2

2006年09月22日

クナッパーツブッシュ、二つのザルツブルク・アルバム

kna_2salz.JPG

オルフェオから出た(一部再発)の、クナッパーツブッシュのザルツブルク音楽祭でのライブ。

まずブルックナー。一応今回が初の正規録音。
非正規では何度も出た。GOLDEN MELODRAMやARCHIPELやあれやこれや。私が最初に手に入れたのはDENONがワルター協会盤を出していたころの日本製のCDである。
これまでのはおそらく放送されたものを誰かが録音したものだと思うが、今回のは放送局のマスターテープを使えたのだろう。ただし、それで劇的に音が良くなったわけではない。49年録音だし。
それでも、今回のは初めてこの演奏を集中して聴けたような気がする、良い音だ。響きはほとんどカットされ痩せ衰えた音ではあるが、まあ何とか音の芯が残っている。

今回改めて気がついたのが、主要でない部分でのオケの(または指揮者の)入れ込み具合。
第2楽章第1主題の3回目の部分で、伴奏のヴァイオリンは6連符を演奏しているが、その6連符が歌いまくり。負けじとメロディも叫ぶ。面白い。
また、第3楽章のトリオが異常に豪華な演奏。構えが大きく、感情の起伏が激しく、カタルシスがある。
「ブルックナーの7番、どれがいいですか」って聴かれて、これを薦めて顰蹙買うかもしれない、と心配するくらい、マイベストだ。

次にブラームス。
悲劇的と3番のカップリングですでにずっと前に同じオルフェオから出ていて、愛聴盤だった。
改めて聴いての感想は、これまでと全然変わらず。

この悲劇的序曲の演奏には、縦の線という概念がない。なぜだか知らないが、オケが縦の線を揃える暇のないままうねうねと進んでうねうねと終わっている。
そのうねうね具合が非常に心地よいというか名人芸的ですきなのだが、「この揃わなさがいいんです!」なんて主張するとさらに顰蹙を買いそうだ。

さて、今回初出(正規では、かな)のピアノ・コンチェルトの2番。これまで出なかったのが分かるような、ちょっと問題の演奏だ。
カーゾンのピアノは、ミスタッチが多すぎる。いや、ミスタッチが問題なんじゃない。音楽がいつまでたってもまとまらない。ミスタッチが出てあせってさらに音楽がゆがんで、というような。
伴奏のオケは万全。1曲目の揃わなさは影を潜め、絶妙のアンサンブルを聴かせる。ホルンやチェロのソロもばっちし。
いろいろあっても観客の拍手は凄いし、あろうことか今月のレコ芸でも褒められまくっている。まあ、私の聴く耳がないということにしといてください。

交響曲第3番は指揮者本人はにこりともしないのに客席爆笑のギャグ百連発のような。現代ではこんなやりたい放題はできない。
でも、本当に素晴らしいのは、そういったことでなく、オケの一体感と流れの良さだろう。クナッパーツブッシュの音楽はとかくその恣意性だけで語られがちだが、オケの流れを作る能力こそもっと讃えられるべきだろう。

今でもこれだけクナッパーツブッシュのCDが発売され、売れている(たぶん)というのは、喜ぶべきなんだろうか。


Anton Bruckner
Symphonie No.7 in E-Dur

Hans Knappertsbusch
Wiener Philharmoniker

Rot-Weiß-Rot, 1949.8.30, Altes Festspielhaus, Salzburg


Johannes Brahms
Tragische Ouvertüre op.81
KlavierKonzert No.2 B-Dur op.83
Symphonie No.3 F-Dur op.90

Sir Clifford Curzon, piano
Hans Knappertsbusch
Wiener Philharmoniker

Rot-Weiß-Rot, 1955.7.26, Altes Festspielhaus, Salzburg


ORFEO

2006年08月16日

クナ/WPhのベートーヴェン選集

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本当はこれ"EROICA"というベートーヴェンの伝記映画なのだが、わたし的には完全にクナッパーツブッシュのベートーヴェンの交響曲を聴くためのディスクである。

はたして、すばらしい演奏。取り上げられているのは、2番の2楽章、3番の各楽章、5番の2,4楽章、6番の1,2楽章、7番の2楽章、9番の各楽章、コリオラン、エグモント。しかも各曲1分くらい。
それでも、充分「聴いた」という気になれる。本当にあの録音嫌いのクナッパーツブッシュがウィーン・フィルとこんな仕事をやったのかと疑問に思ったが、この演奏はやはりクナのものだろう。

当然ながら古き良き時代のベートーヴェン解釈。それでいながら、「これしかない」と思わせる確信に満ちた演奏だ。
特徴的なのは第九の1楽章の再現部。正にワーグナーのような演奏。この部分をワーグナーの楽劇と完全に同じ文脈で捉えているようだし、それが成功している。というかクナの演奏だから許していると言った方がいいかも。

肝心の映画の方は、まあ悪くないです。ちょっと短すぎるけど。テレーゼがベートーヴェンに発する「孤独があなたの天命」という言葉。胸に刺さります。

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