2012年03月25日

ベイヌムのマーラー#7

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心底感動したエドゥアルド・ファン・ベイヌム指揮のコンセルトヘボウのマーラーの7番。1958年にしては完璧すぎる音程と壮麗で明晰な音響。そして熱狂の拍手。なのに1958年にしてはひどすぎる録音。テープがよれてる。が、ヲタクには無問題。
http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=4964789
ベイヌムのマーラーは、スタジオ録音ではDECCAの4番、PHILIPSの大地の歌があり、ライブでは3番と6番がCDで出ていたが、7番はジャケットにあるように、初CD化。初とは言えこんなひどい音のCDが、平然と出せる時代(ヲタクが一定数いる)になったことを喜ぶべきであろう。
ちなみに上記のHMVのレビューは2か所間違っている。よく聴けば最初から最後まで継ぎ目のないラジオ音源をテープに録ったものだというのはわかるし、だからこそ5楽章冒頭のティンパニは欠落ではなくホルン隊全員のフライングだと思われる。

ところで、自分以外に「ベイヌム好きです」的な発言をする人を見たことがないが、こういう音源がCDになるということは、広い世界にはきちんとベイヌムを評価する人がいるんだろうと安心してしまう。

このCDの型番はGMSN-1となっていて、Gustav Mahler Stichting Nederland、つまりオランダ・グスタフ・マーラー財団としてのレーベルの1枚目のディスクのようで(製造・発売は大手CDメーカーっぽい)、今後が楽しみだ。
http://www.gustavmahlerstichting.nl/

しかし、こんだけずぼらな私なのに、ベイヌムのことになるとつい日記を書いてしまうのが本当に不思議である。

2007年03月07日

ベイヌムのブルックナー/1955年コンセルトヘボウの8番

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エドゥアルト・ファン・ベイヌムという指揮者の存在は、一時期前のブルックナーの存在とよく似ている。クラシックを聴かない人はまず名前も知らない。クラシックを相当聴く人は名前は知っていても聴いたことがない。そもそも彼の曲(演奏)を聴く人は相当のマニアである。
私は多分高校生の頃には知っていたのだと思う。ベイヌムのCDを初めて買ったのが高校生のときで、岡山に模試を受けに行って、近くにあったクラシック専門のレコード店に行って、コンセルトヘボウ管100周年記念のブルックナーの7番を買ったのだ。それを選んだのが「国内盤になりそうにない」という理由だったので、ベイヌムを知っていたかどうか怪しいものだが。もちろんその7番は今でも持っている。ちなみにすぐに国内盤も出たし、最近再発もされた。

以前「大地の歌」の演奏について書いたときに、「ベイヌムの特徴である直線的なインテンポ」なんてことを書いているが、この演奏には全く当てはまらない。
http://takmusik.seesaa.net/article/22728468.html
どの小節もテンポは違うし、小節の中でも音は伸び縮みする。しかもそれが、曲がそれを望んでいるかのように自然に。
それに加えて、とても劇的な表現。といっても、ストーリーテリング的(ヘレヴェッヘの演奏など)ではなく、あくまで音楽を音楽として表現しているようである。

ここでもコンセルトヘボウは超絶技巧集団である。ベイヌムが提示する個性的な音楽を、まるで演奏者自らが思いついたかのように自然に音にする。この裏には相当厳しいリハーサルがあったか、もう何回もこの8番を演奏してきたかのいずれかであろう。ぱっと言われてこんな演奏ができるものではない。
まさに、指揮者が絶対的権力者で在り得た時代の貴重な証言である。モノラルなのでマニア以外は聴かないだろうが、ステレオ録音にこれだけの演奏は存在しないのも確かである。
ちなみに、ハース版使用。

なお、2ヶ月前の同じ8番の演奏が最近発売されたことは以前書いたとおり。
http://takmusik.seesaa.net/article/23922590.html


Eduard van Beinum
Concertgebouworkest

Anton Bruckner
Symphonie Nr.8 c-moll

1955.6, Concertgebouw, Amsterdam

PHILIPS

2006年09月18日

ベイヌムのブルックナーとマーラー

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ブルックナーの8番はすでにフィリップス録音がCD化されていて、このライブもそのスタジオ盤と演奏の方針はほとんど変わらない。
非常に劇的な表現であり、かつ、とろけるような歌に満ちた、素晴らしい演奏だ。
全体で72分42秒で、特に1,3,4楽章が速く感じる演奏で、録音の状態と相まって細かいところは聴こえないところがあるが、別にそんな細かいところをどうしても聴かなければいけないわけではない。
また、モノラル録音を頻繁に聴く人には苦にならない録音だ。
すでにフィリップス盤を持っている人がわざわざ買わなければならない録音ではないが、それを持ってなくてこの時代のブルックナー・マーラー演奏にも興味ある人にはぜひ聴いてほしい。すでに現代の演奏と方法論は変わりないことに気がつくはずだ。

マーラーはベイヌムにとっては重要な作曲家の一人であるようだ。スタジオ録音で4番(DECCA)と大地の歌(PHILIPS)があり、放送録音のライブで3番とこの6番がある。特にこの6番については、ライナーノートによると「この曲を聴かずにマーラーを知ったことにはならない」というようなことを友人に語ったそうである。
その言葉通り、マーラーのマーラーらしさを濃密に表現した素晴らしい「悲劇的」。73分24秒とかなり速い部類に入る演奏だが、一音一音が充実しているので、そっけないなんてことは全くない。
直前にエドゥアルド・フリプセがPHILIPSにこの6番の世界初録音を行ったために、ベイヌムの録音は叶わなかったが、仮にこれだけの演奏が世界初録音として世に出ていたら、その後のマーラー演奏はどうなっていただろうか。フリプセの演奏を聴いたことがない(最近再発されたはず)ので、なんとも言えないが。
変なたとえだが、世の中に悲劇的の演奏がこれだけになってしまったとしても一向に悲しくない演奏。もちろんベストとかそういう意味でなくて。


Eduard van Beinum
Concertgebouworkest

Anton Bruckner
Symphonie Nr.8 c-moll
1955.4.21

Gustav Mahler
Symphonie Nr.6 a-moll, "Tragische"
1955.12.7

TAHRA

2006年08月24日

ベイヌムの大地の歌

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某オークションで調達し、今日到着したもの。つい先ごろ国内盤がわずか1,200円で出たが、特に音質が劇的に良いわけでもなかろう輸入盤を、「希少な」ダッチ・マスターズシリーズというだけで、国内盤の2倍以上の金額で買ってしまう私はだめな人間だ。スクリューのパーツを1個なくしただけでタイタニック号のプラモをもうワンセット買ってしまう「結婚できない男」の桑野氏のように、って違うか?

演奏内容はすばらしいもの。ブルックナー・マニアであったベイヌムの、希少なマーラー(もうじき悲劇的が発売になる(注文済み(爆)))だが、いかにもマーラーらしい演奏だ。
ベイヌムの特徴である直線的なインテンポを軸に、前に行く音楽と滞る音楽がきちんと分類され、もっとも適切なリタルダンドなりテンポ・ルバートなりが適切に実施される。ベイヌムの演奏で感心するのが、そういった設計が全く今思いついたかのような新鮮さと同居することだ。
実は、その最大の功績は、コンセルトヘボウのメンバーだろうと思っている。その恐るべき技量で、常に音楽がその場で生まれたかのように新鮮に、あふれんばかりの歌心で演奏する。

ベイヌムのさらに凄いのが、ともすればばらばらになりがちなこの超絶技巧集団を精神的にきっちりと束ねているところだ。それがアンサンブルの精密さに現れている。

二人の歌手の歌は実はあまり好みではない。この曲のテノールは酔っ払いにこそふさわしく、ヘフリガーのような優等生では楽しめない。ナン・メリマンは声質が好みでない。それでも、メリマンは楽章を追うごとに冴えてきて特に6楽章の歌唱には胸を打たれる。
また、さすらう若人の歌でのメリマンの歌唱はすばらしい。ここでは逆にオケがあっけらかんとしすぎで、残念だ。

大地の歌はいろいろ持っていて、ヨッフム/コンセルトヘボウ/ヘフリガー等なんていう、この録音とそっくりのメンツのLP(DG)も持っていて、それがとても好きな演奏だったが、この演奏もこれから長く楽しめそうだ。

Eduard van Beinum
Koninklijk Concertgebouworkest
Nan Merriman, mezzo soprano
Ernst Haefliger, tenor

Gustav Mahler
Das Lied von der Erde
Lieder eines fahrenden Gesellen

PHILIPS, 1956.12.3-8, Concertgebouw Amsterdam

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