なんとも破天荒な曲である。
室内楽で全5楽章60分。そのうち第2楽章はピアノソロ。メシアンの「世の終わりのための四重奏曲」でも楽章はたくさんあるけどソロはなかったような気がする。しかもあの曲は50分。
フランツ・シュミットに出会ったのは交響曲第4番が最初だが、この曲が次くらいではなかったかと思う。大学時代にこのCDを買ったのだ。買った理由はフランツ・シュミットであることと、60分という長さだった。聴いてみるとなんとものんびりとしつつも魂の深淵を感じさせる魅力的な曲で、あっという間にはまってしまい、それ以来もう何度このCDを聴いたことか。
幸いなことに演奏が優秀で、何度聴いても飽きない。奏者は全くほかで目にしたことのない名前の人ばかりなのだが、本当に上手い。スロヴァキア・フィル関係者だろうか。
今日聴き比べて気が付いたが、この曲の第4楽章はもう1曲のクラリネット・クインテットの第2楽章と全く同じに始まる。なんとなく似ていると思っていたが、同じとはね。もう1曲の方では盛り上がったところでスケルツォに移行して肩透かしっぽいが、こちらではさらに魂の深淵に近づいていく。
ちなみにジャケットの絵はスロヴァキアのブラティスラヴァ。フランツ・シュミットの生地である。録音も同じくスロヴァキアである。
ところで、フランツ・シュミットのクインテットのピアノパートはすべて左手のために書かれているが、これはパウル・ヴィトゲンシュタインに委嘱されたためである。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%82%A6%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%88%E3%82%B2%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%83%B3
Franz Schmidt
Quintett für Klarinette, Klavier, Violinen, Viola und Violoncello A-Dur (1938)
Klarinette: Andár Jánoska
Violine: Stanislav Mucha
Viola: Alexander Lakatos
Violoncello: Ján Slávik
Klavier: Daniela Ruso
1990.12.17-20, Moyzes Hall, Slovak Philharmonic
MARCO POLO
ラベル:フランツ・シュミット